5ータタカイノソナエー
カヤが治療され充分に回復した次の日
捜索隊として選ばれた俺とカヤはエンヤ直々に稽古をつけてもらうこととなった。
俺とカヤが使い物になるまでの間はエンヤが空いた時間、1人で周辺を捜索してくれているらしい。
そして、この稽古の狙いの一つは俺のCHAINの力をいつでも引き出せるようにする為で、この前初めて使って以降はうんともすんとも反応は無い。
もう一つはカヤの戦力アップ、俺とカヤの戦闘においての連携を図る為だ。
正直エンヤ直々の稽古って言うだけで少し恐ろしい感じがするが、エンヤが待つ訓練室に俺とカヤが恐る恐る足を踏み入れた。
「おい、お前ら遅いぞ」
「すみません!」
「あんたのトイレが遅いせいで私まで怒られたじゃない!」
「いいかお前ら、今日から俺が稽古をつけてやる!
俺に一撃でも当てられたら合格だ!
殺す気でかかってこないと死ぬと思え!
ちなみにここの特別訓練室はどれだけ激しく暴れても魔力のコーティングがされてあるから大丈夫だ!2人とも出し惜しみなく本気出せよ!」
そういうとエンヤは早くも魔力を込め出した。
それを見たカヤもすぐさま戦闘体制に入った。
「ちょ、、クソ!やるしかないか。」
俺もいきなりの戦闘訓練に戸惑いながらも覚悟を決めた。
が、しかしやはりCHAINの力は使えないままでどれだけ魔力を込めてもなにもできなかった。
目の前ではカヤとエンヤがすでに戦闘を始めているというのにただ見ているだけになってしまっていた。
「おい、レンなにをサボっている!」
カヤと戦っていたはずのエンヤが力いっぱいの飛び蹴りをしてきた。
それが魔力を込めるのに必死になっていた俺の腹に命中した。
「ん、ぐうぅぅ、、」
命中する瞬間に力を入れていたことでなんとか耐え切れたが痛みと焦りで少しパニックになった。
そして、カヤもなかなかエンヤに一撃を与えられず苦戦していた。
「はぁ、お前ら最初からずっとバラバラだからダメなんだろ」
俺たちが予想以上になにもできていないのでエンヤは呆れながらそう言った。
「レン!あんたがモタモタしてるからよ!」
「そう言われても俺だって必死なんだよ!」
「午前はこれで終わりだ!話にならん!」
エンヤは少し怒って特別訓練室から出て行ってしまった。
「あーもう!あんたのCHAINって力は一体どうやったら使えるのよ!」
「おれも全然わかんないんだよ!」
「なんか覚えてないの?あの時こうしたらできたとか」
「んー、特にないんだよな。あの時は必死だったからただそれだけで…」
「心のリンクがどうこう言ってたわよね?」
「お前の親父が言うにはリンクする相手とお互いを思う心を強く持つことが大事らしいけど、心のリンクって言われてもなぁ」
「じゃあ、どっちかの思いが足りてないってこと?」
「かな、、、?兄貴に勝ちたいってちゃんと思ってるかよ!」
「思ってるに決まってるじゃない!!それで言うとあんたより思ってるわよ!!」
「んーあと実践で思ったんだけど、カヤお前1人でどうにかしようとしてないか?兄貴も言ってたけどバラバラだからダメなんじゃないんか?」
「モタモタしてる方が悪い!敵は待ってくれないのよ!?」
「それはそうだけど、もっと俺を頼りにしてくれてもいいんじゃないか?」
「あんたが強くて頼り甲斐のある男なら頼ってますーー!」
「あーそうですか!どうせ俺は頼りない男ですよー!」
俺はそう言うと不機嫌そうに特別訓練室から出て行った。
ムスっとした表情のまま廊下をズカズカと歩いているとシズカに出くわした。
「あら、どうしたの!ご機嫌斜めじゃない!」
「あ、いや、ちょっとカヤと言い合いをしまして…」
「本当にあなた達はよく喧嘩するねぇ。あの子、負けず嫌いだし仕方ないのかもしれないけど。」
「え、あ、まぁはい」
「まぁ喧嘩するほど仲がいいて言うもんね!頑張ってね!ふふふ」
と言うとシズカは微笑みながら去っていった。
シズカはカヤと本当に姉妹なのかわからなくなるくらい穏やかでつかみどころがないのでこっちが狂わせられる。
そしてその後もう少し気を紛らわせる為、食堂に向かい少し早めの昼食を取ることにした。
シズカと出くわし、お腹も満たされ、気持ちが落ち着いたところでさっきのことを思い返して見ると自分はカヤのことばかり責めてたなと改めて気付いた。
「仕方ない、謝るか。」
再び特別訓練室に戻るとカヤがあれからずっと1人で自主練をしていた。
「カヤ!ごめん!お前のことばっかり責めすぎた!自分なんかなにもできてないのに、、」
俺は部屋に入るとすぐに謝罪した。
「いいわよ、そんなことどうでも!私も言いすぎたし…ほら!さっさと使えるようにするわよ!」
そういうとカヤは握手をするように手を差し伸べてきたのでその手を取り握手をした。
[ギュュュュュ]
「いででででで!!お前やりやがったな!!」
「あははははは!これでチャラよ!」
お互いの表情から焦りや苛立ちなどはもうなくなっていた。
「よし、次こそ兄貴に一発お見舞いしてやるか!」
「そうね、次こそ2人で!」
そうしているとまたこの訓練室にエンヤが入ってきた。
「お前らもういたのか。次こそは楽しませろよ」
不敵な笑みを浮かべエンヤは魔力を練り上げ戦闘体制に入った。
それを見ると同時に俺とカヤもすぐさま戦闘体制に入る。
[キィィィィィン]
再び俺の拳にCHAINの力とカヤの火属性の魔力がリンクする。
「できた!」
「やるじゃない!」
「おい!浮かれるのが早いぞ!使いこなせなければなんの意味もない!」
そう言うとエンヤは攻撃を仕掛けてきた。
「炎弾連撃!!」
無数の炎の玉が俺達を目掛けて打ち込まれた。
「火炎障壁!」
カヤが炎の壁で俺ごと囲い込み守ってくれたがエンヤのその攻撃は着弾すると爆発した。
障壁ごと削られ俺たちを襲う。
「ぐっ、、」
直撃は避けたが少しダメージをもらってしまった。
しかし、このまま防御ばかりしていても埒が明かないと思い俺は飛び出して勝負に行こうとした。
それを見たカヤもすぐさま俺を援護できるようにと魔法を繰り出す。
「火炎射術!!」
しかし、エンヤはカヤが放った無数の炎の矢を全て撃ち落としていた。
そしてその後、隙をついて畳み掛ける。
「俺の番だ!火炎拳!」
炎を纏った拳でエンヤに一撃を入れにいく。
エンヤはわざとギリギリのところで躱してそのまま俺の腕を掴んできた。
「まだまだだな」
そう言うとそのまま地面におもいきり叩きつけられた。
「がはっ!!!」
(こんなにも力の差があるなんて…)
俺は叩きつけられた衝撃で気を失ってしまった。
「今日はここまでだ!また明日もするが敵がどこでなにをしているかわからない以上モタモタもしてられない!
明日中に俺に一撃を入れられなければ任務から抜けろ!いいな!」
そう言ってエンヤは部屋を後にした。
隠れて見ていたシズカが俺を治療してくれた。
「ん、、あ、俺、、そうか気を失ってたのか…」
「結局私たち今日は一日中ダメだったわね」
カヤも悔しそうにしていた。
だが悪いことばかりではなく、CHAINの力を使えたこと、少し連携ができたことと収穫もあった。
あのエンヤに一撃を入れると言う無理難題で、しかも期限は明日までと短すぎるが俺とカヤはまだ諦めていない。




