11ーネコー
グレイディアの街を出た俺たちは……いや、俺は迷子になっていた……。
「あのネコどこ行きやがったぁあああ!!!!」
ー遡ること数時間前ー
グレイディアを出発し、俺とカヤはまだ行き先を決めずにフラフラと歩いていた。
「いやー!しかしまぁカヤの親父もこんな物よく用意してくれてたなぁ」
俺は初めての冒険とさっきもらったガントレットに心躍らせていた。
「あんたそれ大事に使いなさいよね!」
「へーへー!!わかってますよー!あ、そういえばまだ何かもらってなかったか??」
「あー、これ?」
そう言うとカヤは腰に巻いていたポーチを開けて中身を出した。
それは紙と何かが入った巾着2個だった。
「何だろう、これ?」
カヤは丸まっていた紙を広げると、それはエンヤからのメッセージと地図だった。
「なんて書いてあるんだ?」
俺も中身が気になり覗き込んだ。
「仲間が必要ならゼロという奴を探せ、噂だとそいつは覚醒の子と呼ばれていて結構やる奴らしい。どこにいるかわからんが水の都マリンピアという街出身とかそうでないとか、まぁその辺に向かってみろ。ですって……」
「おい曖昧すぎるだろ!!しかもこの地図なんなんだよ!適当に丸つけてこの辺って!どの辺なんだよ!!」
エンヤのツッコミどころ満載の手紙につっこまずにはいれなかった。
「ま、まぁ兄さん戦闘以外興味なさそうだから……」
「それでもやばいだろ…じゃあとりあえずそのゼロって奴を仲間にしろってことだよな?」
「そうね、マリンピアという街方面に向かいつつそのゼロって人探すわよ!」
「わかった!で、その巾着は?」
「これは」
巾着を開けるとそこには結構な数の硬貨が入っていた。
「おおーー!お金かー!!」
街で暮らしている時はお金をあまり使うことのない日々だったから俺は少しテンションが上がった。
「ここにも紙が入ってるわ」
そしてカヤは小さく折りたたまれていた紙を開いた。
「お前達2人分の金だ!すぐには無くならんはずだが考えて大事に使うんだぞ!だってさ」
そう言うとカヤはもう1つの巾着を俺に渡してくれた。
「おおー!なんと言う重厚感!!カヤの親父は本当に太っ腹だな!」
「あんたそれも大事にしなさいよ!!無くしても分けてあげないからね!!」
「わかってる!わかってる!」
そう言いながら俺は巾着を手のひらの上で弾ませて重みを感じながら心を弾ませ歩いていた。
すると突然何かの気配を感じた。
[ガサガサガサガサ]
[ビュン!]
するとそこから突然三毛猫が飛び出してきたのだった。
「うわ!びっくりした!」
俺は少しのけぞり驚いた。
そしてカヤが異変に気づく。
「ねぇ!あんたお金は!?」
「え??ま、まさか!」
俺は咄嗟にネコの方に目をやった。
そのネコは巾着を咥えたまま森の方へと走っていく。
「くそ!あの泥棒ネコめ!!まちやがれ!!!」
俺は急いでネコを追いかけて行った。
「あ!ちょっと!まちなさい!!」
カヤは追いかけた俺に声をかけるが俺はそのまま森の中へと吸い込まれるように姿を消した。
ネコを追いかけるが差は縮まらず、どんどん森の奥へと進んでいく。
「くそ!!すばしっこい奴だな!!」
無我夢中で追いかけているとネコは途中で走るのをやめて止まった。
(よし!今だ!!)
俺はこのチャンスを逃すわけにはいかないと思いすごい勢いで飛びつきにかかったが、ネコはその場で方向転換をして茂みの方へと逃げて行った。
すぐに立ち上がり追いかけるもネコの姿を見失い、せっかくもらったお金も1日…いや、もらってから数時間で全額無くしてしまった俺は途方に暮れていた。
そして、そこでもう一つ大切なことを思い出した。
「あ、やばい……カヤともはぐれた……」
そう、俺は見知らぬ森の中で完全に迷子になってしまったのだ。
全部あのネコのせいだとイライラが募る。
「あのネコどこ行きやがったぁあああ!!!!」




