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CHAIN-世界を紡ぐモノガタリ-  作者: ユキムラリン


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10/10

10ータビダチー

 

 マウレアとの戦いが終わり俺たち3人は陽が落ちると共にグレイディアの街に帰ってきた。

 街のみんなのおかげで復興作業が進んだ街は以前の様な景色を取り戻しつつあった。

 その中を歩き3人は基地へと向かう。


 基地に着くとエンヤの部下達が出迎えてくれた。


「……お疲れ様です」

 部下達はエンヤの姿を見て思わず息を呑む。


 しかし、エンヤはそのまま何かを話すこともなく自室へと戻っていった。

 俺とカヤも各自部屋へ戻りベッドに横になると気絶したかの様に深い眠りについた。





 [コンコンコン]

「レンくーん!急にごめんねーー!お父さんが呼んでるー!」


 俺はシズカの呼び声に反応し重たい瞼を擦りながら体を起こす。

 時計を見るともうお昼を過ぎていた。


「すみません!用意してから行くんで先に行っててください!」

 俺は慌てて用意をし、カヤの親父リュウエンの待っている会議室へと急いだ。


 [コンコンコン]

「失礼します!遅くなりました!」


「遅い…」


「あんた毎回遅刻するわね!わざとなの?」

 そこには不機嫌そうなエンヤとカヤそしてシズカの姿があった。


「まぁレンよ、とりあえず座れ」

 言われるがまま俺は近くの席に座った。


「悪魔の討伐ご苦労だった!お前達の様子を見るからに相当苦戦を強いられたと思うがおかげでこれ以上に被害が広がることなく済んだ!感謝する。」

 そう言うとリュウエンは俺たちに頭を深く下げた。


「悪魔を捕まえて戻って来れなかったことは残念だったが上位種の悪魔と対峙して帰って来れたのだから充分だ!でもエンヤを見ての通りこの状態でさらに部隊のメンバーも何人かやられてしまった。そこでだ!カヤそしてレンお前達にはエンヤと一緒の部隊に入りこれからも街の護衛、悪魔の討伐などを手伝ってほしい!」


 俺とカヤは驚いた。

 エンヤの率いる基地のトップ部隊に入るためには過酷な入隊テストを受けてそれに合格しなければ普通は入れないのだがエンヤに認められ、上位種の悪魔と対峙し生還したと言う実績があるので飛び級で入らせてくれると言うのだから正直こんなに美味しい話はなかった。


 だがエンヤはムスッとした表情で言う。

「この体ももう慣れた。こいつら要らない、足手纏い」


「まぁそういうな!戦力は大事だろう!」




「あのー、ちょっといいですか?」


「なんだ?レン」


「俺のこのCHAINって能力は昔勇者が魔女に対抗するための力って前に聞いたんですけど……」


「あぁ、そうだ!どうしたんだ?」


「さっきの入隊のお話はありがたいんですが…俺、街を出て行こうと思います。昨日マウレアを討伐しにいってるときに思ったんです。周りの街の被害やあの悪魔たちの脅威に怯える人たちがまだまだたくさん居るんだって……そう考えたらせっかくこの力を与えられているのに何もできないなんて嫌なんです!!」


「なに!?おい、自惚れるなよ?まだお前は半人前も半人前だ!今すぐに魔女討伐のために旅に出ても死にに行くだけだぞ!!隊に入り、実力をつけた(のち)に討伐に向かった方が確実だろ!!」

 リュウエンは険しい顔をしながら言った。


「わかってます!でも今回の件で街の周りや外の惨状を見て悠長に実力をつけてからでは遅いと思ったんです!俺は魔女を討伐するための旅をし、一緒に戦ってくれる仲間を作りながら実力を磨きます!!」

 俺の決意は固かった。


「ふん、わかった……なら、行くがいい、しかし街もその周辺も完全に復興した訳じゃない!街が完全に治り部隊の体制整ってからだ!それまでは街の復興作業などに付き合ってもらう!いいな?」


「はい!ありがとうございます!」

 俺はリュウエンに深く頭を下げた。


「そしてカヤ、お前はどうするんだ?」

 リュウエンがカヤに問いかける。


 カヤはしばらく黙ってから口を開いた。

「……私も、レンについていくわ。きっと私がこの街にいても兄さんや姉さんみたいにはなれない、なら私は私を見つけるためにこの街を出るわ」


「好きにしろ」

 リュウエンはそう言うと会議室から出ていった。

 そして俺たちも会議室を後にした。



「お前本当に俺についてきていいのかよ!」


「いいのよ!どうせここに残っても私は兄さんや姉さんに比べたら足手纏いなんだから!」

 カヤはムスッとした表情で言う。



「お父さん本当にいいの?カヤを止めなくて!」


「いいんだ!今レンにはカヤの力が必要だからな!カヤもそれをわかってて言ってきたんだろう!」

 リュウエンはムスッとした表情で言う。


 そしてそれから1週間がすぎた。

 この1週間、俺とカヤはエンヤに稽古をつけてもらっていた。

 俺単体の魔法なし実践や、俺とカヤ合わせての魔法ありの実践などしてエンヤにボコボコにされていた。

 エンヤは片腕になっても衰えはなかった。

 そして、手が空いた時は街の復興の手伝いや周辺の見回りなどやることが多くあっという間に時間が過ぎていった。

 そして俺とカヤはリュウエンに部屋へ呼び出された。


「お前達、この1週間ご苦労だった!街も元通りになり、街周辺の村も綺麗になって部隊も以前のように機能するようになってきた!いつでも出発していいぞ!」


(案外あっさりだな。)

 俺はてっきりもっとみんなに見送られるものだと思っていたので拍子抜けだった。

「よし、行くか!」


「ええ、行きましょ」

 俺とカヤはリュウエンの部屋から出て基地の外に向かった。

 外へ出るとそこにはエンヤ、シズカそして基地のみんなと街の人たちが俺たちを送り出すために集まっていてくれた。

 俺は少しうるっときたのをグッと堪えみんなに手を振った。

 そしてシズカが駆け寄ってきた。

「カヤ!レンくん!これお父さんから!」


「これは!」

 俺にはガントレット、カヤには短剣が渡された。


「お父さん自分で渡せばいいのに、照れ臭くて渡せないみたい!街から出ていくの心配そうにしてたわよ!!」

 シズカが笑顔でそう言うとカヤの目からは涙が溢れる


「ありがとう……ありがとうお父さん……」

 カヤはもらった短剣を握りしめて泣いた。

 そのカヤを抱きしめてシズカは言う。

「いってらっしゃい、無理しないでね」


 そして俺たちはみんなに見守られながら街を出る。

「ありがとうみんな!!いってきます!!」

 俺とカヤはみんなに向かって精一杯手を振った。

 カヤは父の部屋を見つめながら言う

「いってきます、お父さん。またね」



 俺達のモノガタリが幕を開ける。

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