3人の男
蔵造りの屋敷の一角。その中には8畳の客間があり今夜は蝋燭の香りを漂わせている。火が溶けた蝋と金属製の受け皿に反射しながら和室の中心を照らしている。
同時に3人の人物が蝋燭を囲んでいることも露わになる。まず蝋燭を挟んで対面に正座する男2人。その2人から対角線上に3歩離れたところで袴姿の男が見下ろしている。目を引くのは立っている男の腰に刀が帯刀されていることだろう。
姿勢良く座る男たちは男を見ることなく正面を互いに見ながら微動だにしていないが、肝が据わっているというのだろうか。その姿勢や整った身なり、そして静かながらも鋭い眼光からかなりの教養と経験を合わせもつであろう格式の高い人物なのだとなんなく察せられる。
「畑吾郎殿、荒垣琢磨殿。」
立っている男が口を開いた。
「単刀直入に聞かせていただきたい。」
灯火が揺らぐ。
「我が妹を殺したのはどちらであろうか。」
「聞いてどうするつもりだ。」
言い終えてから30秒ほど経ったであろうか。左側の座っている髭を蓄えた男、畑吾郎は目線を逸らさず聞き返した。
刀の男、柏滝門左衛門は怒りを噛み締めながら左手に添えた。
「その言い振り、どちらかであるがどちらかだと判断しかねていると見かねる」
畑と同じく目線を変えずに対面の荒垣琢磨も彼に問うた。
「その通りだ、未だ判断しかねている。だからこうしてお二人の前に見参したというワケだ。」
「直接事情聴取というわけか。それならその後は我々の想像通りでいいのだな。」
門左衛門は一呼吸したのち答えた。
「切り捨てる、心して私の質問に答えてくれ。斬り違えられたくなければな。」