表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/10

始まりの町_2

異世界への転生を果たした恭介は、魔王の力を試しながら人類の生存圏を目指していく

砂の下にもぐった魔物は辺りを高速で移動していいるらしく、地震のように大きな揺れが恭介を襲っていた


「ただでさえ立ちづらいのにな…さて、まずは…気になった能力の確認だ」


先ほどまでサキューの背に乗っていた際に、恭介は自分のできることについてはなんとなく把握していた


「威力や効果はどの程度か…楽しみだな

[湖面結界こめんけっかい]」


恭介の詠唱と共に、足元から黒色の液状魔力が広がっていく


「この世界のエネルギー…さっきサキューが魔力って言ってたな

それを広げて探知結界とする…こういう時にはおあつらえ向きの能力だ」


恭介の能力発動から数秒後、やや離れた場所で魔力に波紋が広がった

その波紋が広がるや否や、恭介は高速でそちらに手を向ける


[闇やみ三槍さんそう]!」


先代魔王が生み出した技能スキルである闇の三槍

貫通力に特化した三本の魔力を射出する技である

掌から高速で射出された三本の光線は、地面をえぐるように地下に潜んだ魔物を貫き、そのまま地上に押し出した


「グオオオオアアアアア!!」


体を貫かれた砂の牙は血を吹き出しながらも果敢にこちらに威嚇をする


「やったことなかったけど、モリ突きってのはこういうものなのかな

別にいたぶりたいわけじゃないけど…まだまだ実験に付き合ってもらうぞ」


大暴れする恭介を、サキューは恐怖の表情を浮かべながら見ていた

砂の牙の行う攻撃は単調だ

だが、その体長は50mをこえているうえに、その巨体を感じさせない素早い動きを続けている

まるで上下左右自在に動く新幹線のようなその動きに、対し恭介は容易く対応し、上回っているのだ


「…人間の動きじゃねえな…これが、魔王か」


「はははははははははは!楽しい…楽しいな!」


奪われ続けた人生だった


「まだ死ぬな…まだ抗え!」


弱かったから…戦う力が無かったから…でも今は


「弱者お前だ!奪うのは…俺だ!」


魔力で創られた荊が地面から勢い良く飛び出し、砂の牙を捕縛する

それを見ていた恭介はゆっくりと空に浮かびながら頭上に大きな魔力の塊が作りだす


[魔力球まりょくだまこく]…!」


ただ魔力を集中させ、打ち出すだけのシンプルな技である魔力球…

しかし、魔王が放つとなれば、光すら遮断する高濃度の魔力が全てを消し去る必殺の一撃となる


「なっ…!?そんなん撃ったらここら一帯が消し飛びますよ!!」


「はははっ!くたばりやがれぇ!!」


恭介が放った巨大な魔力球は砂の牙にぶつかると同時に巨大な爆発を起こした

轟音…灼熱の暴風…キノコ雲が舞い上がり、新たな渓谷を作れるほどの巨大な穴を創り出した


「…い、生きてる!?俺生きてる!?」


爆風が少し落ち着いたタイミングで、サキューは自分が無傷であることに気が付いた


「当たり前だろ

お前がいないと案内してもらえないじゃないか」


「恭介さん…!?どうなってんだ!?絶対巻き添えをくったと思ったのに…」


「爆発より強い魔力でお前を覆ったんだ

先代魔王がそういう技能スキルを構築してたみたいでさ

壊す力も守る力も一級品…いい試運転になったよ」


「試運転って…これでですか?」


サキューは目の前の惨状に顔を引きつらせる


「魔王の力だぞ?

こんなもんのはずがない…こんなもんじゃ困るんだよ…」


「確かに、勇者に勝つんすもんね」


「あぁ…先代魔王は負けたんだ…ただ先代の力をなぞるだけじゃ俺も負ける

力を使いこなして、さらに強くなるんだ…」


「…不思議ですね」


「何が?」


「人間はいつも争い合ってるけど、仲間意識が強いでしょ?

恭介さんは会ったことも話したことも無い奴を殺そうとしてるのに、躊躇がねえんですね」


「…わかってないな」


「え?」


「俺の欲しい全てがたった一人殺すだけで手に入るんだ

やらないわけないだろ?」


「そっ…そうですね…その通りです」


サキューは恭介が一瞬向けた冷たい瞳と殺気に恐怖した

恭介には絶対に逆らってはいけない…そう思わせるには十分であった


「お前が思ってるより、人間は愚かで傲慢で我儘だよ…さて、サキュー

人間のとこまで連れてってくれ」


「あぁ、恭介さんがいれば安全そうですしね」


「…そうだ、魔王の技能スキルで試したいものがあったんだ」


「なんだ?」


「[闇の呪縛]」


「うぎっ!?」


恭介がサキューに触れると魔力が強制的に送り込まれた


「これって…!?」


「対象に魔力を定着させて強制的に支配する技能スキル


「知ってますよ!こないだまで受けてたんだから!

いきなりやったらびっくりするでしょうが!」


「自分より弱い奴なら強制的に支配するわけね…デメリットは…俺の魔力のせいで、呪縛を受けてるかどうかが第三者にもまるわかりってところか」


「聞いてない…俺からすれば魔王の息がかかってるってんで、他の魔物に襲われる心配が減って嬉しいですけどね」


「…でもお前が人間に見つかると、魔王が復活した~とか騒がれそうだな…解除」


「あ、せっかく安全が担保されると思ったのに…」


「代わりにお前にはこれをかけるよ…[闇の鎧殻がいかく]」


サキューの体を覆うように、恭介の魔力が展開されていく

しかし、魔力がサキューを覆い切ると無色透明となってしまった


「今のはなんです?」


「不可視の防御技能ディフェンススキル、闇の外殻だ

使用しているかどうかはかなり高レベルの技能スキルじゃないと見破れない

しかも、さっきの俺の魔力球も余裕で2,3発は防ぐ防御性能だ」


「マジですか!?すっげえなぁ…」


「お前はしばらくそれでこの辺の魔物に喧嘩を売ってくれ

どれくらい持続するのか確認したい」


「わかりました!今の話がほんとなら、俺はここの王者になれますよ!!

さぁ、背中に乗ってください!あっという間に街まで届けてやりますよ!」


「ありがとよ…この世界の街がどれほどのもんか…楽しみだな」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ