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冒険者ギルド_2

恭介は収入と身分証を求め、冒険者ギルドに登録しに訪れる。

恭介がテレポーターで試験に向かったころ、アイズの執務室にはギルドの幹部クラスが集められていた

かなりの緊張感が走っている

その理由は、アイズと向かい合う男のせいであった


「わざわざご足労いただき感謝しますよ、勇者アラン」


「そんな堅苦しい挨拶はいいよ、アイズ

ここは“信頼がおける”人しかいないんだろ?

いつも通りでいいよ」


にこやかに、柔らかい雰囲気で話す男

彼の名はアラン

先代魔王を倒し、この世界最強となった人類の英雄である


「はぁ…今や我が国の姫君と婚約して、名実ともに時期国王となることが決定してる人に対してため口聞くなんてのは不敬罪になるんじゃないのか?」


「そんなこと気にしてたら君はもう100回は死んでるんじゃないの?

それで?禁書の部屋に侵入された可能性があるんだって?」


「まだ断定はできないけどな

禁書の棚に謎の鳥が2匹入っているのを確認した

俺と副ギルド長…それに魔法部門長の記憶だよりになるけど、アリルバルド平原を中心に広く生息してる鳥じゃないかと予想してる」


「…場所としては外れてるとは言えないなぁ

あの禁書の部屋に侵入できるほど封印と隠匿いんとくの魔法が弱まったいた認識はなかったけど…どのみち禁書の移動と魔法のかけなおしはやらなきゃだ

もうフューズには連絡したから動いてくれてると思うよ」


「助かるよ」


「なんてことないさ

優秀なのはフューズだしね

それより僕が気になってるのは…闇の魔力のほう」


部屋中にさらなる緊張が走った

ギルドの会議では観測上のミスを考慮し様子見となった案件である闇の魔力の出現

その言葉が勇者の口から語られるのは、あまりにも重い


「様子見になった理由って何かな?」


「…それは、私が」


アメリアが一歩前に出て、手元の資料に目を落とす


「判断材料は3つ

時期、ぶれ、そして瞬間的すぎたという点です」


「…時期って言うのは、早すぎるって意味?」


「はい

魔王の異能は一度消滅してから再度宿るまでに数十年から数百年の時間がかかるものであるためです」


「…そうだね、それが通説だ」


「だが、所詮は通説っていうのが俺の考えではあるよ、アラン

俺は異能にだってイレギュラーがあっていいと思ってる

だけど、お偉いさん方は闇の魔力ってやつをもう考えたくないのさ」


「そうだね…でも、みんな考えたくないほどの脅威だったのも事実だ

慎重にしないと多くの人の不安をいたずらに煽ってしまう」


「…わかってるさ

トップがこんな感じだからここの皆には迷惑かけててごめんなんだけどさ

だけど、ほんとにヤバい状況っていうのも想定しておくのがトップの役割だろ?」


「それも正しいと思うよ

いつも助かってる

2つ目の要因は?」


「2つ目のぶれは、そのままの意味です

もともと闇の魔力は普通の魔力より感知が難しいのですが…今回感知した魔力はかなり激しいぶれを見せたために、闇の魔力を感知したという確証につながりませんでした」


アメリアが申し訳なさそうにそう言った

魔力の感知は高等技術であり、魔力情報を正しく判断しなければならないが、その魔力情報が安定しなかったのである

アランは少し目をつむり過去の事例を思い出し始めた


「ぶれか…確か、魔王も最初の姿の時は闇の魔力が洗練されてなかったな

精神に深く作用する闇の魔力は扱いが難しいらしいからね」


「はい…そして、最後の瞬間的という点も言葉通りです

発生から消滅が早すぎて、闇の魔力であると断定できませんでした


「うん…ありがとう」


「…俺たちがするのはお役所仕事だ

こんな場所だから俺は憶測モリモリで話をしているが…アランはどう思う?」


「…魔王は死んだよ、間違いない

でも…異能は滅ばない

僕も一応…剣の手入れをしておくことにしようかな」


アランはそう言うと立ち上がり、扉に向かって歩き始めた


「…俺も爪を磨くとする」


「うん、使わないことを願うけどね、アイズ」


「あぁ…もう帰るのか?」


「ギルドの様子を見てから帰るよ」


アランが部屋を出た瞬間、部屋に張り詰められていた緊張感がゆるんだ

幹部たちは勇者の印象など、思い思いもことを口走っている


「…世界は平和になったんだよ、ちくしょうめ」



一方、勇者の登場など知る由もない恭介は、謎の空間に立っていた

半円球状のドーム型の建物

装飾のような目につく物も人もない

簡素で殺風景、そしてかなりの広さがある


「なんだここ…変な感じだ

暑いわけじゃないのに、じっとりした嫌な感じがする」


『ふむ…ただの部屋を強力な空間魔法で拡張した異次元空間じゃな

…何が起きるやら

これは試験じゃからな…わしが出せるのは口だけじゃ

手助けは期待するなよ』


「いらねえよ

仮にも魔王なんだ…自力で何とかしてやるさ

ん?魔力が…集中している」


空間に発生した魔力の塊

そこから巨大な目玉が現れた


「気持ち悪いな…何だお前」


「今日の受験生は生意気だね

ようこそ試験会場へ

冒険者ギルドの試験官を担当しているガルグバスだ」


「試験官?化け物にしか見えないけどな」


「威勢が良くて結構だ

冒険者試験は3つの試験に分けられている

私の試験では体の強さを試させてもらう

内容は簡単…目の前の敵を倒すだけ

死ぬことはないんだが…まぁ、頑張ってくれ」


ガルグバスはそう言うと目を閉じ、消えてしまった

すると地面から黒い液体のようなものが大量に噴き出し、形を形成していく


「人型に変形してく…おいおい何体いるんだ?」


『ふむ…数えるのは疲れそうじゃの』


「この量の実体を持つ兵隊を具現化するには相当魔力を食いそうだけど…どういう魔法なんだろうな

気になるけど…今は全部ぶっ飛ばす方が先だな」


「アアアアアアアアア…!」


魔法で作られた黒い人形が一気に恭介に覆いかぶさっていく


「鬱陶しい…[爆裂魔法ばくれつまほうマジックバースト]!」


恭介は魔力を集中させ、一気に解き放った

恭介を中心に魔力の爆発を起こす単純な技ではあるが、魔王が持つ底なしの魔力から放たれれば、その威力は計り知れない


「吹っ飛んだな…なんだ意外と簡単じゃないか」


『簡単なもんか、お前が強すぎるのよ

しかし…高ランクを目指すのならばこれだけでは終わるまい』


ナノの言う通り、人形は砕けてはすぐに再生している


『さて、彼奴等きゃつらの再生が止まるまで吹っ飛ばし続けてみるか?』


「力押しばかりじゃ芸がない…

闇の魔力をセーブした状態での戦い方をここで自分のものにする

[肉体強化魔法 3トリプル]」


禁書から得た知識で掴んだ魔法構築の感覚

そして、ナノから事前に聞いていたいくつかの基礎的な魔法

その組み合わせは恭介に様々な魔法の可能性を示していた


「「「[三重詠唱]」」」


『おわ!?なんじゃ!!

恭介の声が重なって聞こえる!?』


魔法に必要なのは、構築式と式に通す魔力、そして詠唱である

詠唱が無ければ魔法は決して発現しない

それがこの世界のルールである

恭介は魔力で空気を振るわせることで、疑似的なスピーカーを再現

そこから詠唱を再生することで、口を追加で2つ作ることに成功した


「[魔力強化魔法 2ダブル]」

「[感覚強化魔法 4クアドラプル]」

[雷撃魔法らいげきまほう サンダーオーラ 」


「ふぅ…これがバフがかかった感覚か…

気を付けないと…やりすぎそうだ!」


恭介は自らの力の向上から来る全能感に心を高ぶらせていた

そして、大量の人形に向けて飛び出した

稲光をまといながら高速で進む姿はまさに雷のごとく、一瞬にしてすべての人形に一撃を与えながら、その群れを通り過ぎた

人形たちはその攻撃によって空中に浮かされていく


『速い…!』


「まだまだ…!」


恭介は更に速度を上げ、空中を高速でジグザグに移動しながら追撃し始めた

移動するたびに何かが破裂するような音と、衝撃波が発生している


「うおらああああああああ!!!」


恭介が着地するまでの瞬きほどのわずかな時間

ガルグバスの生み出した人形は粉々になってしまった


「人間が空中を蹴って移動するために必要な脚を踏み出す速度はマッハ5程度らしいが…音速程度出すだけなら、なかなか簡単じゃないか」


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