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地上は滅んだ ~蒼然の警部~  作者: 武田瑞穂
第1章 斧の魔物
1/13

1-1

 2028年7月25日、地上は滅んだ。

 

 その日、太陽の表面で凄まじいスーパーフレアが発生した。それは、通常の太陽フレアの1000万倍のエネルギーを有していた。スーパーフレアから放たれたエネルギーは、一瞬にして地球の全オゾン層を消滅させた。オゾン層の急激な消滅により、地球の表面には強力な殺戮光線である超高光度UV‐Cが降り注いだ。凶悪な威力を持つ超高光度UV‐Cは、屋外に存在する全ての動植物を焼き殺した。


 アトランタも、この惨劇の例外ではなかった。

 スーパーフレアが発生したとき、アトランタは14時だった。陽の光を浴びる環境にいた全ての人々が、超高光度UV‐Cに体を焼かれてその場で絶命した。運よく日光による魔の手が届かない地下にいた者は、命を落とさずにすんだ。

 

 地下鉄、アトランタ首都圏高速交通局(Metropolitan Atlanta Rapid Transit Authority)〝MARTA・マルタ〟の駅構内にいた者は、運が良かったと言えよう。

 地上の地獄を察知した駅の人々は、外へでることはしなかった。


 スーパーフレアの発生から数日がたった。

 地下鉄マルタの人々は飢餓におそわれはじめた。

 マルタの中心、ファイブポイント駅は、〝アンダーグランド・アトランタ〟というショッピングモールと直結していた。

 人々はそのショッピングモールの、あらゆる飲食物をむさぼり食った。


 人々は気づく。日光が出ていない時間であれば、外にでることはできる。

 人々は、日中は地下鉄マルタ内ですごし、陽が沈むと地上へでて、食べ物を漁った。


 マルタ内での人々の生活は、やや安定し始めた。


 マルタ以外にも人々が避難している場所はあった。多くはビルの地下だ。夜間、マルタ以外に

住む人々は、たびたび凶漢によって略奪にあったり、強姦の対象となることがあった。

 マルタ外の者たちは、マルタの人間から、その地下鉄内の安全性を聞く。そして、多くの人々が平穏を求めてマルタに移動するようになった。


 こうして、地下鉄マルタは、アトランタの中心的存在となった。

 

 人間は社会的な生き物である。


 やがて、人々はマルタのなかに自治政府を構築しはじめた。



 スーパーフレアの発生から21年が経過した。


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