02 幼馴染
ごめんなさい。
慣れない予約投稿したらミスってたので手動で投稿します。
電車内で調べたことをまとめると、『覚醒者』それは超能力のような力を操る人たちのことを指す言葉だ。
能力者などと言われることも多いが一般的には覚醒者と呼称され呼ばれている。
基本的に七つの分類があり、火、水、雷、風、氷、光、闇に分類されるが一般的に確認されている能力はこのうち四つしかないそうだ。
能力が発現すること自体、未だに正確なことは解明されていないが、基本的には個人の素質や感情の高ぶりによる発現例が多いため、日常生活の中でふと能力が発現した例もあるらしい。
覚醒者は過去の文献などでもその存在が確認されており、時代の転換期などで武力を行使する際などでは軍事的に利用されていた歴史があったが、今では軍が覚醒者を行使するのではなく、覚醒者が軍を率いており時代によりその立場が入れ替わっているようだ。
だが、軍を率いて武力を行使するような覚醒者は全体の一部であり、大多数の覚醒者は軍や戦闘などと言った争いごとに関与しておらず、基本的には能力の使い方を専門の学校で学ぶだけに留まり実際にその力で何かをするということはないのが一般的らしい。
だが、覚醒者は身体の作りがそもそも他の一般人とは異なり、能力が発現した時点で他の人よりも優れた身体能力や頑丈性を保持しているらしい。
怪我などの回復速度も他と比べると早く、瞬く間に治るようなことはなくとも運動したことによる筋肉の増大などは一般的な人に比べれば早いため、鍛えれば鍛えるほど超人的な力や頑丈性を保有することができるそうだ。
ある研究では、一般人と覚醒者の運動能力を比較した場合、本来人では理論上では不可能な数値を出すことが可能になるらしく、人と比較するよりも自然界の動物と比較する方が近い数値を出すことが出来るといった結果になったそうだ。
また覚醒者によれば、能力を行使できることや異常な身体能力の元になっているのは個人の生命力を使用しているそうだが、使用した生命力は時間経過で元に戻るようで、その総量自体も特訓することで増やすことが出来るため、覚醒者の上限を確認することは難しいそうだ。
そして覚醒者を他人が判断することは可能であり、覚醒者は本来の髪色とは別に能力を示す色が髪の一部に反映されるようだ。
「ねぇ、ぼーっとしてるけど大丈夫? 歩いてる時くらいちゃんとしておかないと怪我するよ」
「ごめん、そうだよな。今日はちょっと体調悪くてあんまり集中できてないんだよな」
そして帰り道、偶然会った遥香の前髪の一部は水を体現しているかのように青く変わっていた。
「今日はごめんね、いつもみたいに朝行ければよかったんだけど。ほら、覚醒者になっちゃったから手続きとかで早めに行かなくちゃいけなくって」
「ごめん、体調悪いせいで思い出せないんだけどいつそうなったんだっけ?」
「え? 昨日出かけた時一緒に居たのに? ニュースにもなってる事件の現場にいた時に発現したの忘れたの?」
おそらく朝のニュースで報道されていた爆破事件のことだろうか。
昨日までとは違う日常を送っていてそれまでの記憶と遥香の発言では前日の行動から違うようだ、昨日は一日中家にいたはずなので当然そんな爆破事件なんて記憶にない。
「多分昨日のことが原因で体調崩してるんだから仕方ないだろう、あんなことが在ったら誰だって体調を崩すよ。遥香は能力発現して身体もメンタルも頑丈になったから大丈夫なだけだろ」
「私だって大変だったんだから! 髪色が変わっているせいで昨日帰ってからお母さんにすごい問い詰められるし、誰が見てもすぐに覚醒者になったのバレるから早めに学校行って先生にどうするのが良いか聞きに言ったらそのまま転校手続きする羽目にもなったし! 明日からなんて本格的な手続きが必要になるからもっと大変になるみたいだし……、本当に最悪だよ……」
昨日今日で色々あったせいか、体調を崩したりしてはいないものの遥香もかなり疲れが溜まっているようだ。
「まあなったものは仕方ないだろ。大変かもしれないけど、今手間を掛けないとさらに面倒なことにもなるかもしれないし」
「そうなんだけどさぁ……、ほんとなんで覚醒なんてしたんだろう……。別に私覚醒者になんてなりたいと思ったことないのに」
「素質の問題って言うし、なりたくてもなれない人も居るだろうからあまりそうやって言わない方が良いぞ」
「なりたいと思うのは彰人でしょ。昔覚醒者になるんだってあれだけ張り切ってたのに今の今まで結局能力の発現しなくて落ち込んでるんじゃないの?」
からかい半分で遥香はそう言った。
「覚醒者に憧れてたのは昔のことだし、今は別に覚醒者になんて憧れてないよ。大人になったら自分のなりたいものと実際にかけ離れていても妥協する必要だってあるんだから今更発現したとしてもただ迷惑なだけだよ」
この世界での昔の夢は知らないが、昔の自分なら確かに特別な力がいつか発現するかもと期待していたかもしれない。
だが子供の夢は子供が見るから許されるのであって、大人になりかけている今の自分がその夢を語るのはただ現実が見えていないだけだ。
しばらく遥香と歩きながら話していると、気が付けば自分の家の前についていた。
記憶の中の遥香の家はまだ先だったので、女性を一人で帰すのも違うと思い家に帰らずそのまま素通りすることにした。
「あれ? 普段なら帰り道会ったとしてもそのまま家に帰ってたのに今日は送ってくれるの? 珍しいこともあるもんだね」
「昨日あんなことが在ったばかりだし、たまにはそんな日があってもいいだろ」
「別に珍しいなぁと思っただけだよ。うん、確かにそんな日があってもいいよね。彰人にも私を思いやる気持ちがあるみたいで感心だね!」
「……やっぱり俺も体調悪いし帰ろうかな」
端から見れば恋人同士のようなやり取りをしながらそのまま遥香の家まで短い距離を二人で歩いた。