異世界寿司職人のぶ
俺は異世界に転生した寿司職人のぶ。
今日は少し緊張している。
魔王軍の奴らが来ているからだ。
俺の寿司でこの世界の未来が決まる……。
「どうぞ。セイレーンの握りです」
「セイレーン!?」
セイレーンは見た目と違って脂が乗った美味い寿司ネタだ。
「こちら。ポセイドンの炙りです」
「……ポセイドンを寿司にするとは。貴様只者じゃないな?」
「ちょっとこちらじゃ見かけないでしょう?カッパの軍艦です」
「河童の旨味と砕いた皿の食感がおもしれぇな。うめぇぜ」
「ありがとうごぜぇます」
ここまでは気に入ってもらえたようだ。
さて。幹部たちの胃袋は掴んだ。
いよいよ魔王様をおもてなししますかね。
「こいつらは馬鹿舌だが。私を満足させるのは難しいぞ?下手なものを出したら首をはねてやろう」
どれだけ脅されようが俺は寿司職人。手なんか震えねぇよ。
よしっ!!
「へいっ!お待ち!」
「これは何だ!?」
「イカ二貫です」
「イカ二貫!?」
「どぅぞ」
「セイレーン。ポセイドン。河童ときてイカ二貫!?」
「どぅぞ!」
「もういい!会計はいくらだ!」
「3800円です」
「うーん妥当やな。……あとノブはわしじゃ!」
異世界寿司職人大吾〜完〜