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転生令嬢は物語を変える

作者: 8
掲載日:2022/10/10

クリーネ=ド=リトファントそれが今の私の名前。

パシフィカ王国4大公爵家の一つリトファント公爵家の末娘

そんな私には前世の記憶がある

様々な世界、様々な形、様々な生き方をしてまた死んでいく

長い長い時の中で覚えているのは私だけ。

最初こそ、虚しさや悲しみや辛さに耐えきれなくなりそうだったけれど、私にも支えがあった。


「リトファント公爵令嬢、俺と結婚して下さい」


「はい。もちろん、喜んで。」


エーデン=ヴァン=ポラトリー

ポラトリー侯爵家の後継者で私の運命の人。

彼にはもちろん前世の記憶はない。

だけど私達はこれまで、どんな時も、どんな姿であってもお互い惹かれ合い結ばれてきた。

彼は私の、唯一の希望。


「私が絶対、、、、、」


「?リーネ?何か言ったか?」


「…結婚式が楽しみって言ったの!」


「俺も!」


太陽みたいに眩しくて、大好きで、ふとした瞬間涙が溢れる。だって彼は、一度だって長く生きた事がないから。

不治の病、戦争、暗殺、事故、災害、それらの理由において長くても30歳までしか生きられない。まるで呪いのように


〜結婚式当日〜


「…とても綺麗だ。リーネ」


「ふふっあなたもよエーデン。」


何度生まれ変わっても、何度同じ思いをしようとも、私は


「「キャー!!!」」

「「魔族だー!!!」」

「「リーネ!!」」

「「エーデン!!」」


「魔族が何故!?リーネ!下がっ「大丈夫!」


今日の出来事は初めから"わかっていた"

この世界は、いつか読んだファンタジー小説の世界だから。

私は魔族の襲撃で結婚式に夫を亡くしたことにより他人の幸せを踏み躙り、最後には処刑される悪女…だった。


「悪いけど物語は変えさせてもらうわ!精霊達!力を貸して!」


『はーい!リーネ!』


本来は物語の主人公達の元にいるはずの精霊達

風の精霊王アネモ、火の精霊王ファイス、

水の精霊王アムピト、緑の精霊王ドリュア、


「風でバリアを張りました!参列者の皆様、どうぞ邸宅内へ。決して外には出ないでください。」


「リーネ…何故精霊達と」


「…私が絶対守るから!」


この結婚式にきた魔族は中級しかいなかった。

だから、"私でも"倒せる。


「守るって…そもそも君は精霊と契約出来ない筈じゃ…」


「うん、契約はしてない。約束をしたの。」


私には精霊と契約出来るほどの親和力がない。

それでも莫大な魔力によって精霊の認識ができた。

あとは彼らの出現場所に行って、主人公達よりも先に出会い彼らの望みに応えて"友人"になったのだ。

そして、"一度だけ私の力になってほしい"と約束をした。

全てこの日のために。


『面白い娘だ。契約じゃなく、約束とは。』


ゾクッ


うそ…なんで…

大きな翼の人型魔族、緋色の瞳と緋色のピアス、魔王の側近サリモア。


『偵察かねて襲撃に行かせたのに中々帰ってこないんだもんね。見に来たら面白い事になってるし。』


原作にはなかった、それもそうだ。

今の状況自体が元々原作にはなかったのだから。


『残念だったね。契約をしてないのならばアイツらは精々上位精霊程度の力しか出せない。つまり、』


ブォンッーパァンッー


「アネモ!『俺の敵じゃない』


精霊は人間界で力を使う場合、契約をしないければ本来の力を発揮できない。

契約者の魔力と親和力により凄まじい力が使えるのだ。


『リーネ、アネモは暫く戻ってこれない。一瞬で消される程だ。かなりのダメージを負わされた。』


「ファイス、アムピト、ドリュア、3人で絶対に破られないバリアを張ってくれる?あとは私がやるわ。」


『でもっ…リーネっ!』


『人間風情が魔族を舐めすぎだろ。』


「精霊達、あとはお願いね。」


『『ならばせめて祝福を』』ーフゥッー


「エーデン、愛してるわ!来世でまた一緒になってね!」


「無理だ。」


っ…


「俺は、お前とずっと一緒にいたいから。」ーピカッー


全身から光を放ち、身体の中心にその光を集め剣を具現化させる。この世界でも一握りの逸材しかできない大技。

エーデンの出したその剣は前世で使ってたものと瓜二つ。


ドクンッドクンッ


「ねっ…ねぇ?その剣」


「コレは"前世の俺"が記憶と共にくれたものだ。」


それじゃあっ…


「黙っててごめん。でも話は後だ。2人であいつを倒そう」


「それはダメっ…だってここは物語の世界でっ…このままだとあなたはっ…」


「物語を変えるって言ってただろ?だったら2人で変えればいい。俺を信じろ…"リン"」


"リン"は一番最初の…私の名前……


「わかったわ……全解放」


ゴゴゴゴゴッ


『なんだぁ?この魔力はっ!』


リトファント公爵家は王家より長い歴史がある。

この国一の魔力を保有していた女性が初代リトファント公爵なのだ。数十年、数百年に一度その初代と変わらぬ魔力を持つ子が生まれる。それが私。まさに後の悪女に相応しい設定


「ふっ…さすが!それじゃ行くぞ!久々のツーマンセルだ」


私が魔法で間髪入れずに攻撃をする。

攻撃はすべて爆破する仕組みになっている。

ボンッーーーガキィンッ

爆破の奥から剣で攻撃して行く。

これを息する暇もないほど高速で行う。


『にん…げんっ…ごときがっ』


攻撃は許さない。高濃度の魔力でバリアを貼る。

防げるが一撃で破られる。さすが魔王の側近なだけある。


『だったらお前を先にやるだけだ。』


「無駄よ。『なーんてな』


ザシュッ


「ゔぐっ…」「エーデンっ!」


『おいおい。魔族の言うこと信じるなよバカだなぁ〜』


ドクンッドクンッ

エーデンの腕から血がっ……血っ………死?


「リーネ!後ろ!」


そういえばこれまで私の方が先に死んだことはなかったな。


グサッ

サリモアの爪が私の脇腹を貫通した。


『くふふっ…まずはひとr「ふっ…これで…あんたも逃げられないわよ。エーデン!やって!」


ザンッープシューッ


『ぐぁぁあっ』


サリモアの腕を切り落としてくれたおかげで息が楽になる。


「聖なる光の雷よ鎖となりて邪なる者を拘束せよ。」


ジャララ


「リーネっ…「エーデン、剣をかして。」


ー光の古代魔法付与ーパァァアッ


「これで、トドメを」


『クソっ…クソォォオっ!ザンッ…サァァアッ


「リーネ!早く治癒魔法を!」


「まだっ…最後の仕上げが残ってるわ…広範囲魔法展開、雷よ我の敵を殲滅せよ。」


ドドドドドドドッ


無数の光が魔族達を貫いて、塵にしていく。

勝ったわ。よかった。これで未来は変わった。

あなたが生きてる。


「リーネっ…早くっ…治癒をっ」


「ごめんっ…エーデン…上級魔族にっ…つけられた傷は、神官様ほどの聖力をもってないとっ…治癒できないのっ…ましてや相手は魔王の側近だ…からっ…」


「そんなっ…」


「腕っ…平気?」


「俺のことより、自分の心配しろ!」


頭がぼーっとする。

今もまだ私が生きてられるのはきっと精霊達の祝福のお陰ね


『『リーネ!』』


「みんな、約束っ…守ってくれてありがとう」


『リーネ!今アネモが復活して大神官連れてくるから!』


『それまで頑張って!私たちもチカラを貸すから!』


『今私たちが出せるチカラを全て君へ注ぐ!』


みんなっ…


「エーデン…いつから記憶が?」


「8年前、リーネと婚約者になった日の夜、夢の中で全て教えてもらった。今までの人生のこと。前世の俺が死ぬ前に聖剣の神と契約をしたらしいんだ。この剣を再び持つ事になる時、全ての記憶を俺に、と。」


だから、私の最初の名前も知ってたのね。


「「リーネ!」」


「お父様、お母様、お兄様、無事でよかった。」


「リーネ!お前っ…その傷っ…」


あぁ、泣かないで。死ぬのが惜しいと思ってしまうわ。

やっと彼を救えて、満足出来てるはずなのに。

死ぬのなんか怖くなかったはずなのに。

もう、この人生も終わりなのね。


「エーデン」「リーネ」


「「愛してる」」


ブワッ

巨大な魔法陣が私たちを包む。暖かい。


『みて!リーネの傷が治っていく!』


『この力は何だ?我らの感じたことのない力だ』


エーデンの腕の傷まで治ってる

これは、聖女として生きていた時の私の力だ…何故…



『やっと見つけた。私の愛し子。』


っ!?ここは、精神世界?…こんなことができるのは


「創造神さま!?何故この世界に!?」


『愛しき子よ。其方が記憶を持ったまま何度も転生を繰り返したのは我のせいなのだ。我が其方を特別扱いしたがために他の神達が呪いを…我が感知できぬよう様々な世界へ送り其方を傷つけたのだ。本当にすまない。』


私は、創造神さまの側近だった。

神の使いとして様々な世界に行き、人間界で愛する彼に出会った。そして力を失う代わりに人間にしてもらったのだ。


『其方が去った寂しさで、人間界から少し目を背けた我が悪かったのだ。その間に其方は私の送った世界からいなくなっていて、その時初めて他の神達の陰謀に気づいた。だが、どの世界へ行っても探し出した時にはもう其方は他の世界へ飛ばされていて、遅くなってしまってすまない。』


「創造神さまは何も悪くないです。私の願いを聞き入れて人間にしてくれたじゃありませんか。」


『其方は優しすぎるのだ。もっと我に怒ってもいいものを』


「創造神さま、私はこの苦痛の中でも彼と一緒にいれたことがとても嬉しいのです。それに今回は彼を救えました。」


『…聖剣の神は古い友人でな。其方らを見つけたときすでに助からない状況とわかって、我に伝えるよりも先に契約をしてくれたのだ。今生きるか、次の自分に全てを託すか。』


「…神の契約には代償がつきもの…彼は何を」


『これは我のせいで起きた出来事だ。代償などない。其方らの人生に比べれば微々たるものだがな。神と契約者はその契約が満了しない限り転生しようとも繋がっている。お陰で其方らを見つけられたのだ。』


「よかった。ありがとうございます。」


『礼など…其方を呪った神達は全員見つけ出し、制裁を与えた。そして其方らには我が加護を。其方は瀕死だったのでな前世の聖女の力も。これでもう安心して今生を生きてくれ』


「はい!創造神さま、ありがとうございます!」



「…ネ!…リーネ!」


「エーデン…みんな…ただいま」


「「リーネ!」」『リーネ!』


みんなの安堵した顔。あぁ、私生きてるわ。

家族も、精霊達も、愛しいあなたも、みんないる。


「エーデン…一つお願いがあるの…」


「一つと言わずなんでも言ってくれ」


「結婚式、あげなおさない?」


「ふっ…ははっ…もちろん!」


それからの私達は大忙しだった。

参列者の皆から瞬く間に噂は広がって、魔族の突然の襲撃にも関わらず死人どころか怪我人すら出さなかったことにより王宮から褒章を貰ったり。

私を大魔法士として、エーデンをソードマスターとして大々的に発表されそうになったり。それを阻止したり。

まぁそれはそれは大変で、遂に私は王宮なのにもかかわらず大声で言ってしまった。


「「いい加減結婚式を挙げさせて下さい!」」


エーデンも同じタイミングで言ったみたいで、それを聞いた王家の方々は大爆笑。

お互い顔が真っ赤になりながらも思いが一緒だったことが嬉しくて私たちも自然と笑っていた。


そして遂に、私達は2度目の結婚式を挙げることとなった。

何故か王宮のホールをお借りして式は執り行われた。


「リーネ…これまでも…これからも…ずっと共に生きよう。愛してる。」


「私も、愛してるわ。エーデン。」


『おめでとう、リーネ』

『我らより、こころからの祝福を』


ワァッ


誓いのキスをした瞬間、精霊達の祝福により会場にキラキラとした光が注ぐ。

それはとても幻想的で、後に一生忘れられない結婚式と評され、物語とまでなって歴史に残ることとなる。


「綺麗ね。幸せすぎてまるで夢でも見てるみたい」


「夢なんかじゃないよ。これは君が変えた未来だ。」


私達は物語を変えた。

つまりこの先何が起こるのか想像もつかない。

ただ言えるのは、彼がいれば私は絶対大丈夫。

何度生まれ変わっても、何度同じ思いをしようとも、

私達は何度でも出会って、結ばれる、心が選んだ人だから。


〜END…?〜

当初の想定より長くなってしまって、番外編でその後のエピソードや細かい所を書けたらなとはおもってます。

が、書くかどうかは未定です。

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