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アヴァンギャルドメイド  作者: 鷺屋
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第1話 死んでもうてる

カクヨムで1話先に連載して行く予定です〜!

良ければ!

 正直、よく覚えていない。

確か通り過ぎたはずの夏が未だ存在感を残した深夜に、コンビニまで散歩しようと歩き出した。恐らく誰でもよかったのだろう。人に恨まれた人生を送っていたつもりはなかった、しかし違和感を感じて見下げた腹部には、まるでここは異世界かと思うような異形の剣が、普段目にすることの無い体内、広義的に異世界と言えるかもしれない体内からぬるりと顔を出していた。


 目を開ければそこは何も無かった、ただ背景と曖昧な境界線を持っているソレは、僕に話しかけた。

____あの、ごめんね。僕が間違えて君の世界に迷い子を送っちゃって、君を殺めちゃったみたい...____

「それで、どうしてくれるんですか」

____お詫びに異世界転生というか...____ 

「あの、あのー?もうこれ廃れましたよ...」

呆れたように、しかし少し期待も込めて口にする。

____夢叶えたるから...


 曖昧な境界線がより曖昧になり光り出したと思えば、そこはメイド服が置かれたワンルームで、服も着せられずに放り出された。

「こういうのって町外れの森とかに飛ばされるものじゃないのか...」

少し文句が浮かぶがすぐに忘れ目の前にあるメイド服に目を移した。それは、前衛的なデザインをしたメイド服でファオタ及びメイドオタの俺は目にした途端、刹那、瞬間、身につけようとした、が。

「俺って男なんだよなぁ...」

ガクリと視線と肩を落とすと、そこには無いはずの山があり、あるはずの山は丘に変貌していた。

「メイド服!着れるジャン!!!!!!」

サイズはどうなのかと一瞬気になりはしたが一切違和感がなく完全に着こなしてしまった感覚に陥った。

「あのアレって中々やるじゃん。」

恐らく神様っぽいアレを褒めながら、外へ繋がる出口らしきドアを開けるとそこは街外れの森だった。

「結局テンプレに落ち着くのか」

半笑いでつぶやき、今の自分の背格好を確認すべく大急ぎで街に向かった。


 「次、そこの、使用人の格好した女。身分証になるものを見せなさい。」

盲点だ、大きい街のせいで検問がある。

アレは馬鹿なのか入れるのかこれ。

こうなれば口を馬に見立て脳にムチを入れ、嘘を嘶くしかあるまい。

「ハイ...実は雇って頂いていた家からお暇を言い渡され、身分証も何もロクに持たせず追い出されたのです...」

ふむ、上出来。

「本当か...?どこの家だ、言ってみなさい。」

ヒーーーンこれには俺の口馬さんも本当に嘶くことしか出来なかったみたいだ。どうしようか。そういえば俺は、いや私は女だ。

「グスッ...ウッ...」

女の涙はあらゆる男を駄目にする魔法のポーションなハズ!!!

「すまない、辛い過去だったな。聞いて悪かった、通れ。」

ヒーーーンヒンヒンヒーーーン

これには勝利の嘶きが止まらない。


さて通れたのはいいが正直何も分からない。とりあえず鏡を探すか〜、自分の見た目を知らなきゃな。

適当にぶらついていると大きな建物があり、玄関のガラスに自分の姿がうつっていた。

「これは...」

真っ白い肌に腰の辺りまである真っ黒の髪と大きな真っ黒い目。こんなにもメイド服が似合う儚げな少女が俺だという現実に

ヒーーーーーーーーーーーーーーーーン

今日一の嘶きを轟かせた。

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