phase2 幸せは薄い薄いガラスの上にあるって知ってた?
はい。二話目書かせていただきました。あんまりネタバレになりそうなこと書きたくないので早速行っちゃいましょう!ちなみに今回絶望回です。
「礼」
「「さようなら」」
「ふぅー、今日も終わりっと」
「帰る前に鶏小屋寄ろうぜ」
「りょーかい」
そう、この学校鶏小屋があるのだ。さすが私立中学。
「さーてさて、鶏ちゃんたちー、餌の時間だ..って」
「なんだよ、これ」
それは一年間ずっと鶏たちを育ててきた俺たちからしたら、凄惨な光景だった。
ほとんどの鶏は頭が食いちぎられ、ある鶏は羽をもがれ、足が引きちぎられ、小屋は床はドロドロとした血と内臓がぶちまけられていて吐き気を催す。
「うっっっ、おぇぇ!」
「一旦外へ出よう!」
「おい有田、なんでお前気持ち悪くなんないんだ?」
俺はこの状況が信じきれていない。
「わからんが、先生呼ぼうぜ」
「獣が入ったのかな....」
「獣はあんなに残酷じゃねぇよ。とりあえず落ち着け。」
何故自分でもこんなに落ち着いているのかわからないけど、職員室に駆け込む。
「ッ⁉︎」
そこには、血で塗装されたような壁と、あたり一面に撒き散らされた肉片と血と内臓だった。
「おぇぇぇぇ...」
流石に気持ちが悪すぎた。部活の時にかっ喰らうように飲んだ水が全部出てきた。
「逃げよう...」
「待て天堂。警察だろ。」
俺はあんまり汚れていない固定電話を手に取り、警察に電話をかけようと動いた時、
職員室の向こうで、薄橙色の何かが動いた。
「「は?」」
そこには、血だらけの口をつけた、人だった。いや、人というには無理なくらい悍ましい顔と、鶏を想起させる体を持ち、強酸性の液を滴らせた口。
やばい、生き物からこれだけの圧を感じたことがない。
今は両者共に固まっている。
「天堂」
「逃げるぞ」
「おう」
そして背を向けて走り出した。普通獣にあった時に背を向けて走るなど自殺行為に等しいが、さすがの天堂でも、それは知らなかった。
2人は走り出し、それを追いかける化け物。
「有田、体育館へ行こう!」
確かに、あそこならアレがある。
「了解!」
走る2人と一体。
アイツ、クソ早ぇぇ!
迫る化け物。そいつが手を振り上げ、2人を殴りつけようとした時。
ガキィィ‼︎
2人と一体の間に挟まるは、木刀。
「どれくらい持つかな」
「わかんねぇけど、警察来るまで死んでも耐える!」
2人は、次々と繰り出される攻撃を凌ぎまくる。
「オラァ!」
「有田‼︎攻撃するな!奴の攻撃を凌ぐだけにするんだ!」
「ッ!、わかった..一旦距離を取ろう。」
「OK。」
「2人は一気に後ろに下がる。」
相手は迂闊には来ない。
「アイツ、知性があるな」
「確かに、迂闊に攻めてこない」
「逃げるか?」
「あいつの足じゃあ逃げきれないし、家まで遠すぎる」
「早く来いや警察」
と物議を醸していると、
ガサガサガサッ
という大きい音が立った。そっちを見ると、
あの化け物がいる。
「「なんで、二体目なんだ」」
二体が一気に距離を詰めてくる。
((終わった))
誰もが観念したその時、
「SCP-3199を発見。交戦する」
「男子中学生2人を保護した。」
見るからに強そうなデカい大人2人は、少年2人を抱えると、あり得ないスピードで走り出した。
「はっや!!」
「あんたたち、誰ですか?」
「お前初対面の人にアンタって辛辣だな。俺たちはSCP財団。化け物を封じ込める組織だ。」
「SCPって!!」
「ん?なんでお前は知ってるんだ?」
「でかいサイレン頭のやつとか、とにかくでかいのがいる奴を倒す組織??」
「あぁ、ネットのやつな。あれは全部嘘だ。」
「マジかよ...」
「とにかく、お前らは全員保護して、そのあとインタビューすんぞ」
グラウンドに着いた。すでに車とテントがたくさん立っている。
「まず、最優先で聞くこと、」
「ほかに死んだのは?」
「「先生全員と、学校の奴ら」」
「そうか。お前らはまず休め。」
車に備え付けられたベッドに寝っ転がる。
「なんだったんだ、あれは。」
「なあ有田、俺たち無事なのか?」
「皮肉にも」
「あれを見た後で生きた心地するやつなんていないと思うけど」
「って、天堂?」
天堂は外に出て、
「もう一度、教室を見に行こう。」
「は?お前は何言ってるんだ?」
「だから、無事な人がいないか見に行くんだよ!」
「いや大丈夫だろ!あのおっさん達がなんとかするって!」
「いや、僕は行くぞ!」
「馬鹿野郎!」
俺は力強く天堂の頬を張った。
「いてぇだよ!何すんだよ!」
「まず俺たちの無事を喜ぶのが先だろ!」
「そうだけどさ....なんで俺たち以外に人が来ないのか心配でならないよ」
「それでも、お前が生きてくれているだけで、俺は嬉しいよ。お前までいなくならないでほしい。」
「有田....」
2人はそれぞれのベッドに転がる。意外にも一瞬で意識は薄れていった。
「起きろ〜お前ら〜。」
「って、寝てなかったのか?」
俺たちは一瞬で意識が薄れ、一瞬で意識が戻った。
理由は..言いたくないな。
「さあお前ら、インタビューだ。落ち着いたか?」
「「はい」」
「まず、あいつは何をした?」
「あいつらは....」
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「なるほどな。大体わかったよ。とりあえず、お前らは記憶処理を受けてもらう」
「記憶処理?」
「記憶を消すんだな?」
「そうだ。理解が早くて助かる」
「それじゃあ、有田との思い出も⁉︎」
「安心しろ、そこはちゃんと調節できる。」
「わかりました。」
「それじゃあ、心が決まったら、外の一番でかいスーパーアンビュランスにこい。」
「了解です。」
「じゃあな。」
「...」
重い空気が漂う...
「よし有田、行こうか。」
「...おう。」
皐月の心の中は、強い強い悲しみと、復讐心で二分され、決意をたぎらせた。
「おーい、おっさん、きたぞ〜」
「おっさんて...俺25だぞ」
「まあいいから、早く記憶処理ってのをしてくれ。俺からでいい」
「わかった」
「処理後は意識を失うが、その後は替えの記憶がちゃんとあるからそれに従って動け。」
「わかりました。じゃあ、有田また後で。」
「うん、わかった。」
「さあ、次はお前だが。」
「...」
「どうした?」
「俺を」
「俺をSCP財団に入れてほしい。」
ここまで読んでいただきありがとうございます。
出すSCPの選定がむずすぎる....SCPのリクエストは随時受け付けておりますのでどしどし意見要望お聞かせください。
SCP-3199「誤れる人類」はRyan Van Dongen作「SCP-3199」に基づきます。