表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

1.さよなら・・・ほうき星

おうちに、ほうき星がやって来る。


太陽くんとのお別れを告げに・・・

今日も 太陽くんは、中心部に存在する水素を熱核融合させて、熱を発生させていました。


その太陽くんのお家に、ほうき星たちが、やって来ます。



☆彡 ★彡 ☆彡 



「やぁ、太陽くん。」


「あぁ、ほうき星くん、久しぶり。84年ぶりかな?」



そうです。 このほうき星たちは、84年ごとに、太陽系の中へ外へとグルグルと回っているのです。



「そうだね。 今日は、お別れを言いに来たんだ。」


「あぁ、そうなんだ。 さみしいねぇ。

 どこに 行くんだい?」


「君の惑星だよ。」



そう言ってほうき星は、マグマの海・・・ 溶岩が一面に広がる 火の惑星を 指差します。



「そうかい。

 あんな星より、君たちが 居てくれる方がいいけどね。」



太陽くんは、寂しそうに つぶやきました。



「まぁ、そう言うなよ。

 あの星は、いわば 君の子供みたいなもんだ。

 気長に見てやるんだね。じゃぁねっ。」



そう言った ほうき星は、ぐぅんとスピードを上げて、太陽くんから遠ざかりました。



「あぁ、逝ってしまった。」



長く伸びるほうき星の尾を見ながら、太陽君は、ため息をつきます。


このため息は、太陽風と呼ばれるもので、速度は、なんと時速300万km。


すると、どうでしょう。 ため息が、すごいスピードで、ほうき星を追い越していったではありませんか。



「おいおい。 自信が無くなっちゃうな。

 ため息が、ボクより速いって、どういうことだよ。」



そう言って、ほうき星は、火の惑星へと突っ込んでいきます。



  ドーン。ドーン。ドーン。



溶岩の海に、ほうき星が、突入しました。


火の海は、荒れ狂い、砕けたほうき星たちは、キラキラと最後の輝きを見せながら、それに飲み込まれます。


その時です。この星の北極に、美しいオーロラが現れたではありませんか。


太陽くんのため息によって、高速で飛んでくるプラズマの流れが、この星の磁気圏に衝突して出来た、キラキラと光る美しい帯。


まるで、この星に突入していった、ほうき星との別れを惜しんでいるかのようです。


それから、幾年・・・いえ、何億年たった頃でしょうか。


その星の海に、小さな生命が生まれました。


火の海だった星は、ほうき星が運び込んだ水や石によって、豊富な水の海や、大陸が出来ていたのです。


生命の誕生した第3惑星を見て、太陽くんは、つぶやきます。



「ほうき星くんが、遊びに来てくれる方が、良かったな。

 君たちが、居なくなって寂しいよ。」



こうして 太陽くんが ため息をつくたびに、北極では、オーロラが キラキラと またたくのでした。

文字数(空白・改行含まない):1000字

こちらは『冬の童話祭2022』用、超短編小説です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ