友達は特典でついてきますか。
俺は、急な展開に悩まされている。
久々の休暇で、長い眠りについていたと思っていたら、
永眠していたらしい。
なんでも、時空のねじれだかが起こって、
死んだという。
まっこと信じられない話だ。
そして、その償いに、
異世界に転生させてくれるという。
特典を一つだけつけて。
その特典は何でもありで、
望めばそれをくれるという。
俺は、それよりも、時空のねじれが起きた理由を知りたかった。
何だそれ、聞いたこと無いぞ。
目の前にいる、火の神は燃え盛っている。
ただの火だが、熱くない。そして何を燃やしているのかわからない。
声もどう発しているのかわからない。
しかし、ハスキーな声が聞こえる。
不思議だ。
そして、広がる白い空間。
俺の何かが試されているのだろうか。
とりあえずだ。
聞きたいことは一つだ。
「友達は特典でついてきますか。」
炎がひときわ高く燃え上がって、そして答えた。
「友達とは、なんだ。
戦い殺し合うやつのことを言うのか」
何か、問題が発生したようだ。
そいつは、人の言葉で不倶戴天の敵という。
決して友達ではないだろう。
失敗した。
なぜ友達のことなど、言ったのだろうか。
そんなものは、なんとかなる。
きっと行けばなんとかなる。
今いるところでは、なぜか友がいない。
しかし、行けばなんとかなる。
なぜそんなことを聞いたんだ。
「私には、友がいる。名を草の神という。
奴らは人間を滅ぼそうとしているのだが、
私は、人が生まれの親だ。滅ぼされてはかなわぬからな」
炎は火花をちらして、言った。
へぇぇ、そうして友になったのか。
ご説明丁寧にありがとう。
草の神、人類を滅ぼそうとしているのか。
まじかい。
まじですかい。
そして、火の神、人間の肩を持ってくれるのか。
「友がいないと退屈。
その気持、よくわかった。
そして、特典はいらぬという。
やはり、人生はハードモードを選ぶか」
炎は一層燃え盛った。
そうはいってない。
「頑張れ、火を継ぐ親よ。
友はたくさん用意しといたぞ」
何も言う暇なく、
炎に飲み込まれて、意識が飛んだのだった。