【序論】 異世界やめますか? それとも人間やめますか?
「厨二病患者は人間ではない!!!」
誰も賛同しないだろうが、エセ賢者はそう確信している。
「これだから人間は・・・」と呟く眼帯の女子高生が人間であるわけがない。
異世界文化に侵食された新人類は、ホモサピエンスが本来持つ社交性・精神性を失ってしまっている。
一般に言う『中二病』とは、思春期の子供に特有の背伸びしがちな言動や態度が過剰に発現している状態のこと。
病と表記していても、実際に治療が必要とされる医学的な病気・精神疾患ではない。
しかし、本当に「若者の背伸び」で片づけて良いのだろうか?
だとしたら現代の異世界転生・転移漫画の氾濫と、それに熱狂する社会不適合者(たとえば私)の増加に説明が付かないだろう。
中二病と言いながらも近年は対象が高齢化し、青年や中高年であっても同様な傾向が見られることが多い。
そしてその多くがアニメ、ゲーム、漫画、ライトノベルを媒体とするファンタジー作品によってもたらされており、長く触れるほど症状が悪化していく。
もはやこれは『中二病』ならぬ『厨二病』。
一種の『精神汚染』と考えるべきだろう。
作品で描かれた夢や希望が成長の糧になれば良いが、現実には必ずしも好ましい影響を与えているわけではない。
ジャオウシンガンに溺れ、暗黒の炎に焼かれれば、安定した社会生活を営むのは難しくなる。
自身を超越者と定義して人類種を見下すようになれば、人間関係はどんどん崩れていく。
そこまで極端でなくても、異世界に触れ続けた中毒者には何らかの症状が表れているはずだ。
アニメや漫画を好む貴方には、厨二病の自覚があるだろうか?
自分が『特別な存在』だと、心のどこかで思っていないだろうか?
テレビでスポーツやバラエティを見て、物足りないと感じていないだろうか?
周囲の異性や友人に魅力を感じず、落胆していないだろうか?
より強い刺激を求めて、異世界転生小説やスマホアプリに没頭していないだろうか?
もしも何も当てはまらないなら、このままブラウザバックしてお戻り頂きたい。
そうでなければこの話を最後まで読んで、自分の心に生じた歪みを把握してみてほしい。
「人間に戻るチャンスは今しかない」