ウルウルビーム❢8話
「篠君。」
そう声をかけると待ち合わせ場所に早く着ていたらしい篠君はスマホから顔を上げた。
「おお星璃!お前、髪の毛普通にしてカラコン外すとこんな顔なんだな。」
篠君がじーっと見つめてくる。
「そんなに見るなよ、やっぱり変か?」
「変じゃねーよ。むしろ美形すぎるだろ。」
「篠君だって美形じゃん。」
「お前に言われるとなんか納得行かね。」
二人で話しながら来夢くんを待つ。
「そういえば、良かったなかつらしなくても良くなって。」
「ああ。篠君ありがとう、助かったよ。」
「礼言われるようなことしてないさ。」
そう、あのかつらが外れたあと山田先生と、なぜか美術の先生のお力もあってかつら無しカラコン無しでの登校が許可されたのである。
篠君が後押ししてくれなかったらなかったことだ。本当に感謝。
そんなことを話していると来夢君がやってきた。
「遅くなってごめん!実はこんなの見つけて買ってたんだ。はいこれ。」
「「今からでもわかる!フルーツ戦隊フレッシュフレッシュ??」」
「そう!仁君も星璃君も全然知らなそうだからこれ持ってたほうが楽しめるかな〜と思って買ってきちゃった!」
「来夢くん、ありがとう。」
「ありがとな。」
3人で来夢くんが買ってきたものを見ながら話、もとい予習をした。
始まるまであと3分、お急ぎください。というアナウンスを座席で聞きながら辺りを見回すと、やはり小さい女の子や家族連れが多い。
「来夢、このフルーツ戦隊、まさか女子用じゃないだろうな?」
「そんなことはないと思うけど…ほら、誰でも対象って書いてあるよ!」
「いや、でも見渡す感じ家族連れのお父さんとかしか男いないんだけど…。」
「そんなに気にしない気にしない!女の子が多いのは事実だけど見始めればたのしいし!ほら、仁君も星璃君もペンライト持って持って。」
これは…覚悟を決めよう。
この年になって…
「みんな〜!フルーツ戦隊フレッシュフレッシュを応援しよう!キラキラライトを持って!せーの!」
『ウルウルビームー!』
「今度はブルーベリーちゃんが大変みたい!みんなでパワーを届けよう!」
『頑張れーブルーベリーちゃん!』
一体俺は何をしているんだろうか。
まあ。
これも経験、だよな?
✾映画終了後✾
「あ〜面白かった!」
「久しぶりに映画見たよ。」
スイッチが壊れピカピカ光りっぱなしのライトを見つめる篠君を横目に苦笑しながらも、妹さんにお土産を買うという来夢くんに着いていく。
「仁君もお土産買ってお母さんにあげれば?これとかどう?」
「俺はいいや。星璃はどうするんだ?」
「アメリカの友だちにアニメのCD贈ろうかなって今思いついたところ。うん…これでいっか。」
「本当に送るつもりか?これ。」
「受けが良いかもしれないからね。」
帰りは駅で解散。
来夢君と同じ方向らしい篠君は紙袋を一袋抱えてあげているらしい。優しいなおい。
「じゃあな、星璃。」
「バイバイ!星璃君!」
「また学校で。」
一人での帰り道は、なぜかいろんな人に話し掛けられたけれど、取りあえずスルーしておいた。
まあ、楽しかったな。色々。
買ったCDを送るために帰ったらすぐにお母さんに声をかけることにしよう。
あれを見た友人の顔が簡単に思い浮かぶ。
すぐ送るからな。
✾✾後日談✾✾
「ジョンー!セリから何か届いてるわよ!」
「ありがとうママ。すぐ開けるよ。」
セリからなんて珍しい。
カッターで開けると一枚のCD。
パソコンに入れてみてみるか…。
「ウルウルビームーーーーー!」
・・・。セリ、からだよな?
スマホを開き電話帳の中からセリの名前を探す。
だからアイツ前電話したとき笑ってやがったのか、そう思うと口もとがほころぶのが自分でも分かった。
CDを他の奴らにも見せてやろうと算段を立てながら電話に出るのを待つ。
「ジョン?どうかしたのか?」
「届いたぜ、CD。」
さてと。まずはセリから話を聞くとしよう。
読了ありがとうございます。