一応頑張るよね6話
今は4月。いくら暖かくなってきたとしてもまだまだ外に出ると肌寒く感じる。
それは勿論俺もだ。体力テストだと言われグラウンドに招集されたが…。
寒い。
ジャージを着ているが寒い。
本当に春なのかを疑いたくなる。
競技の説明を聞くとこの気温のため自分がテストを行うとき以外はジャージを着ていて良いようだ。助かった。間違いなく風邪を引くから。
「次!漣さん!」
50メートルと100メートルのタイムを計るらしい。担当の先生の合図を聞いて走り始める。
ふう。体力テストなんて久しぶりだな。
前にあいつら(大学時代の仲間)に乗せられて受けた体力テストの結果より良くなってるといいな。
「漣さん、はい結果。」
「ありがとうございます。」
50メートル走の欄を見て…
うん。上がってた。陸上部顧問の先生のキラキラした視線が少し怖いものの、結果は良かった。
「どうだった?星璃?」
篠君に聞かれて答えると少し驚いたように笑ってた。
そのあとは、握力とか反復横跳びとか、そんなもんだ。
ともかく、終わってよかったとしか言いようがない。
「あ~疲れた!」
少し高めな来夢君の声を聞きながら教室へと戻る。
お互いの結果を見せ合いながら休み時間をたっぷりと使って移動する。
「そういえば、次自己紹介か。」
「そういえばそうだったね。」
そう俺が言うと来夢君が口を開く。
「僕らは小等部のときからずっと一緒だからみんなのこと知り尽くしてるのに…。なんだかめんどくさーい!」
…。そうだった。篠くんたちと一緒にいたから忘れてたけど俺外部生だった。
「来夢!今年は星璃がいるからしっかりやるんだよっ。星璃、みんなお前のこと知りたいと思ってるから気にすんなよ。」
「うん、しっかりやるよ。」
「星璃君真面目にやる〜?じゃあ僕も真面目にやっちゃおうかな。ボクの名前は渡辺来夢です!誕生日は7月6日!休みの日は時々プールで泳いでて、今年の夏は海に行く予定!好きなキャラクターは、フルーツ戦隊フレッシュフレッシュのリンゴ・アップルちゃん!」
「ふざけてないか?来夢。」
「真面目にやってるってー。」
「来夢君、フルーツ戦隊フレッシュフレッシュって何?アニメ?」
「そうだよー!妹と一緒に見たらはまっちゃって。」
「興味ねー。」
「仁君まあそう言わずにさっ!面白いから〜見てみてよー!CMでもやってるじゃん!瑞々しさウルウルビームってやつ!星璃君見たことあるよね?」
「見たことはあるけど…。」
篠君同様興味はなかった。言えないけど。
「だよね〜、ほらほら!そうだ仁君と星璃君!そのフルーツ戦隊フレッシュフレッシュが映画化されるんだけど、一緒に見に行かない?」
「映画?そのなんとかフレッシュの?」
「そうだよ篠君!一緒に行こう!星璃君も、3人でさ!」
「まあ、星璃が行くなら…」
「篠君が行くなら…」
「「行ってみようかな。」」
「はい決定ね!星璃君の連絡先これであってたよね?ここに詳細送っとくからー!じゃあ、とにかく自己紹介頑張ろうー!そろそろだし席に戻るね!」
「「お、おう。」」
「結局行くことになっちまったけど、気楽に行こうぜ。」
「そうだね。」
そうちょっと気後れして二人頷くとちょうど先生が入ってきた。
「体力テストおつかれさま〜!じゃあ始めるわよ〜!!!!!」
慌ただしく始まった自己紹介はやけに高いテンションであっという間に過ぎていった。
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