入学前の1話
ご覧頂きありがとうございます。
一章完結ごとに完結設定する予定です。
「星璃、この学園に通わないか?というか…通って。」
大学を卒業してもなお用事が途絶えず、アメリカに留まっている俺はいきなりやってきた父からそう言われ、とりあえずとパンフレットを受け取った。
「純瀧学園?」
「ああ、お父さんが理事をしてる学園だ。男子校で小等部から外部受験生が入ってこないかぎりずっとそのまま上がっていく学園でな、みんな良い子ばかりだ。」
「そんなところに何で?それに純瀧ってさ…天才しか入れないって所でしょ?俺を裏口入学させるつもり?」
「そんなことは無いよ。ちゃんと受験してもらうさ、それに。あのいい子達にちと、刺激を与えたくてな。」
「はあ?刺激を与えるために入るの?俺。」
「頼むよー!星璃!頼める子はいないんだって!学力の問題があるし…何しろ男子高だし。その点お前は男だ!それに学力偏差値はクリアしてる。星璃ー!お願いします!旅館に夏連れてくって約束します。本当に本当にお願いします!」
「はあ。ちょっと考えさせて。」
頼む父から目を離し、もう一度パンフレットを見直す。
「純瀧学園…。」
どうやら通うことになりそうだ。
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既に小、中、高、大学生が学習する内容を終え、日本では中学生という年齢でアメリカの大学に通っていた俺。今年卒業したから普通に学園には通えるし、全然問題無いんだけどさ(高校卒業11歳大学卒業時15歳)、2回目の高校生活ってなんか変な感じするな。
アメリカの家からあのあとすぐ引っ越したんだけどちょくちょく用事があってアメリカと日本を行き来してた。
無事受かったって知ったのは実家からの電話。その時はアメリカにいて、日本に居られなかったんだ。俺は発表日、大学でお世話になった教授に頼まれてアシスタントに行ってたから…。断ろうと思ったけど半年前から頼まれてちゃさすがに断れない。
合格したら、合格したで制服やらなんやらいろいろ準備したよ。アメリカは私服だったから制服は初かな。写真館で写真を撮らされた。
母さんが俺の制服写真をスマホの待ち受けにしてたのは…親孝行ということで今のところ見逃している。
しかし…。俺の髪色と瞳の色、日本じゃ校則に引っかかるんだよな。
染めてるんじゃなくて、地毛。ハーフの父と母の遺伝でさ、茶色と金の間、真鍮みたいな色まあほぼ金色な髪してるんだよ。瞳の色はちなみに紫。アメリカだったら普通に髪色も瞳の色も問題無かったんだけど…。
父に相談するとぼさぼさカツラをかぶり伊達カラコンプラス伊達眼鏡で手を打てってよ。
はあ。
俺、これでも入学式で新入生代表なんですけど…。
こんなザッ陰キャ、みたいな感じで平気?
読了ありがとうございました。