4:不安の兆し
・・・・あなた人じゃありませんね。」
「んなっ!!!」
一瞬の内に、首に手刀をいれ、部屋に連れ込んだ。
そのものは、聞いたことがある声だったが、黒い服で全身を覆ってい、マスクを着けていた。そしてマスクを取ろうとした時、
「んっんんっ」
「静かにしろ。騒いだり、声を上げようとしたら殺す。
聞かれたことだけ答えろ。
お前は何者だ?」
「わ、わたしはラングドール王国第二王女カルテニーナ=ラングドールです。
いきなり声をかけたのは申し訳ございませんでした。」
「お、王女さんだったのか。」
この時の月明かりに照らされ、髪の毛は蜘蛛の糸のように細く、
まるで夜空の星と一体化したのかと思うほどに光り輝き、
その華憐で妖艶な表情をした、わずか十四歳の彼女に、一瞬目を奪われてしまった。
「ニーナとお呼びください。」
「い、いきなりニックネームで呼んでいいのか?」
「はいっ!是非呼んでください。」
「じゃあニーナ、お前はなぜ俺が人間じゃないと思ったんだ?」
「私には、小さい頃の魔力暴走によって、魔力などの系統の種類を感じ取る力があります。そして、あなたが母にかけられた呪いの力に似ていたからです。
それは、七年前に遡ります。「七年前!?」えっ?どうしました?」
「すまん・・、続けてくれ。」
「はい。それで、七年前に森へ花を摘みに行った母が、
瀕死の蛇に会い、その時に噛まれて毒と一緒に体に入り込んだ、
呪いにも似た力を受けて、今でも母の体を蝕んでいます。
それがあなたに感じた違和感です。」
「そうか・・。一ついいか、
この世界の蛇にそういう力を使うものはいるか?」
「わかりません。私はこの世界の魔物全てを知っているわけではありません。
ですが、呪いなどの能力を使う魔物は沢山います。」
「そうか・・・、わかった。
もう一つ、召喚されずに世界を渡ることはあるのか?」
「ない、とは言い切れないです。
私が知らないことなど、この世界には溢れかえっていますので。
そして、あなたならこの呪いを解くことができるのではないかと、
思いました。」
「一度見てみなければわからない。」
「わかりました。明日午前に訓練について説明があるので、
お茶の時間くらいにどうでしょうか?」
「わかった。」
「それにしても挨拶の時は人見知りかと思ったが、普通に話せるんだな。」
「はい。あの時は、神哉さんのことが気になって仕方なかったので。」
「そうか、ってか俺の名前知ってるんだな。」
「それは、皆さんの職業と名前をまとめた書類に、この城の者は全員目を通しております。」
「そういうことか。」
「はい。それではおやすみなさい。」
「おう、おやすみ。」
七年前に、瀕死の蛇?俺に似た力?
これは偶然なのか?それともあいつが・・・
そんなわけないか、あいつは死んだんだから。