13:制止
「お前はなァ、詐欺師なんだから役に立つことなんてねーよなァ。
だから、俺が今から役に立たせてやるよ。
別になァ、魔術師じゃなくても魔術使えんだよ。
だから練習台になれよォ!!
まず、ただの魔力からだ。やるぞお前らァ」
「「オッケェー」」
《魔力弾》
「グフッ、ゴホッゴホッ
や、やめてよ!!」
「お前のなァ、その反抗的な目が気に入らねぇんだよ!!
別にお前がここで大怪我したってなァ誰もお前の味方はいねぇんだよ!!
ここまでやるつもりはなかったがいいや。
くらえやァ。」
《火弾》
「やっ、やめっ・・
◇◆◇
やっぱり怪しいよな。あのいじめっ子集団。
黒田を誘うというとは何かあるな。
「グフッ!」ゴホッゴホッ
やっぱりか、この声って
なにやってんだ!!
「この世界で暴力ふるっても詐欺師の味方をする奴なんていないぜェ」
って言っていたのがやっぱり頭の中をよぎるな。
この世界でのいじめがあるとするなら、
ろくなことにはならないな。
角を曲がったとこか。
そこにはいじめっ子の澤村が黒田に対して、
魔術を撃とうとしているときだった。
《火弾》
「やっ、やめっ・・
当たると思い目を閉じた。
《狐手・魔喰らい》
黒田に当たるかのように思えた火の玉は、
神哉のてに吸い込まれ消滅した。
「だ、誰だよォ、じゃましてくれやがってぇ。」
「たっ助かった。」
「これはさすがにシャレになんねーぞ。」
「おいおい狐我ァ、お前はこいつをかばうのかよォ。」
「かばうかばわないの前にな、
こんなことやっていいと思ってんのかよ。」
「悪い奴を退治するのに理由がいるのかよぉ。なァ。」
「ああ、詐欺は犯罪だしな。」
「そうだ。」
「僕はそんなことしてない!」
「お前はァ黙ってろよォ。」
「職業の名前が悪いだけで、こいつは何もやってないし、
詐欺が犯罪なら、お前らは傷害罪だろ。
いい加減にしろよ、そういうの。」
「ちっ、萎えたわ。いこーぜ!」
「「ああ。」」
訓練で実力差を知っているためか、
悔しそうな顔をし、逃げるように去っていった。
「大丈夫か?」
「あ、ありがとう。」
「まぁ、お前も舐められないように気をつけろよ。」
「むっ無理だよっ!!
ぼっ僕弱いし。」
「そうか・・頑張れよ。」
「う、うん。」
助けられてもこれでいじめが解決したわけではないということが
分かっているのか、表情は暗いままだった。
◇◆◇
夕食の時間になっても、あの4人は、食堂に顔をだすことはなかった。
「お~神哉。遅かったな。
もう腹ペコペコだぜ~。」
「お前がペコペコっていうのも気持ちわりーな。」
「そんなこと言うなって、待ってたんだぞ。」
「あ~すまんな。色々あってな。」
「それにしてもシンくんの魔術すごかったね。」
「ありがとな。ひかり。」
「うん///」
「でも沙耶の紅炎魔術もすごかったぞ。」
「でしょ~。魔術師の中では一番だと思うの。」
「確かにな。でも総合すると皇雅の奴も強いよな。
さすが勇者ってことか。魔術も武術もできて。
神哉は完全に上位互換だけど、勇者より強い妖術師ってどういうことだよ。」
「たしかにね~さすが神哉ってとこかな。」
「そんな褒めても何も出ないぞ。」
「そういえば明日の訓練って姫さんたちが来るって。」
「じゃあ、頑張んないとな。」
おそらくだが、あの王妃の一件で、
俺の力については王家の奴らには伝わっているだろう。
だから、それがばれないように頑張るか。
「明日、頑張るぞー。」
「「おおーー。」」




