8:訓練始動 午前
それにしても今日はたいへんだったな。
あの力まで使っちゃうし。
でも、死んだはずのあいつがこの世界で生きているのなら、
俺が決着をつけなきゃな。
もし世界を自力で渡ることができるのならば、
あの妹だったら付いてきちゃうかも。
そういえば、妹が俺になついてきたのも7年前だったな。
妖怪戦争が起きたときは、まだ嫌われてたっけ。
そして、二人で誘拐された後から異常になつかれたな。
今どうしてんのかなぁ。
唯一の心残りだ。
「・・・寝るか」
次の日の朝
俺は身支度をすませ、朝食をクラスメイトと取り、訓練場に行った。
「それでは訓練を始めるぞ!担当の近衛騎士団団長ドルトン=ラクシールだ。
お前たちが生き残るためにも、しっかり行くぞ!
まずはこの場所を五十周しろ!!」
「ええ~~、ここ一キロくらいありますよー」
「「そうだそうだー!」」
「まずは、基本の基礎体力だ!!甘えるな!」
「は~い」
「なんか体かるくね」
「これなら余裕だぜ~」
みんな身体能力が不自然なくらいに上がっているな。
二十五週をこのペースで走りきるか、でも近接戦闘職以外はあまり変わってないな。これが異世界転移した影響か、戻っても同じならオリンピック出れるな。
「やばっ、そろそろギブかも。」
三十週あたりから減っていき、最後まで残ったのは、
俺と要と、意外なことに、女子の鈴奈だった。
「残るなんてやるじゃん要」
「なめんなよ、こっちはジム通いだぞ。」
「やるわね、狐我君、五条君。」
「おう、少し意外だったな、堅持が残るなんて。」
「いや、俺は残ると思ってたぞ。」
前の世界から人間にしては強かったし、
「五条君と違って、狐我君は見る目があるんだね。
神哉君と呼ばせてもらってもいいかしら?」
髪縛ってるから、汗が滴っていい感じだな。
「いいぞ。」
「それにしても、随分と余裕ですね、神哉君。
汗すらかかず、息も切れないとは。」
「鍛えてるんで。」
「少し興味がわきました。」
「おいおい神哉~、訓練でもラブコメかよ~」
「あら、五条君は下品なことしか言えない呪いでもかかっているのかしら。」
「あいつはもとからだよ。」
「そんな呪いがあってたまるかっ!
しかも、もとからってなんだっ!」
「わるかった、わるかった。でも訂正はしないぞ。」
「いやそこはしろよ!」
「それに私は生まれてから恋なんてしたことないのよ。」
「いつも皇雅とか健太と一緒にいるのに?」
「私は綾香と仲がいいだけだから。」
「へぇーそうなんだ。」
「そろそろ次が始まりそうよ。」
「そろそろ次の訓練に行くぞ。
武器をもって素振り千回だ。
近接戦闘職は自分の使うもの
魔法職は杖、他は自由だ。では始めろ。」
「はい!」
近接戦闘職とその他の人とは、差が大きく、
職業というものの、重要さがわかった。
でも、妖術士って何使えばいいんだ。
俺は武器を持たないしな。
「すいません、素手の人は何すればいいですか?」
「そうだったな、格闘の奴もいるんだったな。
素手で戦うものは、腕立て、腹筋、背筋、スクワット、二百五十回ずつやり、その後ここをまた、十週しろ。それでたぶん同じくらいに終わるだろう。」
「「わかりました。」」
「行くぞ、要」
「おう。」
皆それぞれの訓練を終えて、午前の訓練は終了した。
「では、昼食とする、解散!」




