早すぎる邂逅
光が段々と引いていく。
さっきみたいにログイン時の急にくる光ではなく、陽の明かりの光だ。
何故こうも眩しい思いをしなければいけないのか、と心の中で愚痴りながらも目を開ける。
そこには世界が広がっていた。
青々しく生い茂っている草原、そこに広がる草の匂い。
空を見れば数匹の鳥が青い空を自由に羽ばたいている。
耳をすませば風の音が心地よく聴こえる。
ここが本当に現実じゃないとは、信じられない。
服装もいわゆる「初期装備」の様なものに変わっており腰の方には「冒険者の剣」が掛けられている。
「・・・・・・これが、ネクストファンタジーオンライン」
くっそなんだよこれ、想像以上に最高だな。
にしても・・・・・。
「綺麗すぎるだろ、なんだこの景色!?
ホントにゲームなのかよここ。リアルだって言っても信じるぞ俺・・・・・。」
「実際の地形を元に形成されてますから当たり前だと思いますよ?」
俺がそう呟くと横から先程のアルテミスが俺と同じような装備で横に立っていた。
反射的に腰の剣を抜いてアルテミスの首に突きつける。
「お前は何でここにいるんだ?」
「貴方のスキルの影響よ。
全くどうしてこんなことになったのかしら・・・・・。」
口調がさっきと違うという事は、こっちが素だなコイツ?
それにさっきよりも表情が豊かになっている。
俺のスキルの影響、と言ってたがどういう事だ?
確かメニューを開く時は・・・・・
「『メニューオープン』」
呟くと半透明のメニュー画面が出現する。
上から2つ目、剣と剣が交差しているアイコンを叩くと現状の装備状態、スキル、後何個かの空欄の部分が纏まって出てくる。
スキルの欄をタップすると今持っているスキル(と言っても2つだけなのだが)が表示された。
テイマー
主に#¥$&性生物を自身のテイムバディに加えることが出来る
(最大テイム数=/=++)
最強の神歴
用途不明、存在不明、使用方法不明その他の説明不ー↑?!↑Ⅱ‼☆‼ー!~#&#+!'&$/$-;+[?;=”’]
「おい!明らかバグだろこれは!?」
なんだよ、用途不明って!?それ以前に文字化けしすぎて何が何だかわからない!?
ユニークスキルだって最大テイム数がわからなくなってるし非敵性なのか敵性すらもわからない。
「貴方、余程運が悪いのかしら?こんなバグ今まで摘出されたことないわよ?それに私の事もあるし・・・・・貴方何?そういう星の元生まれてきたの?」
「そういう星の元ってなんだよ!?
俺だって知りたいわ!つーかお前の方が絶対この状況に対して詳しいだろ!?早く説明してくれよ!?」
スキルの事で苛立ってしまったのか、少し強めにアルテミスに問い詰めようとする。
数歩歩み寄り俺が手を伸ばした瞬間
ヒュッ!
何が俺の顔を横切った。
その後、バギっという大きな音と共に後ろの木が真っ二つに割れた。
ゆっくりと顔の向きを変えると矢を放った様な構えで弓を持っていたアルテミスがいい笑顔でこちらを見ていた。元々美人すぎる容姿なのでその笑みには今すぐにでも褒め讃えたいところだが何故なのだろうか
全く身動きが出来ない、昔女性を本気で怒らせてしまった時にこんな状況に陥ったことがあるが間違いなく今回もそうなのだろう。
俺はアルテミスの逆鱗に触れそうになったのだ。
「貴方様は私の逸話、ご存知ですかね?」
「あ、いや、えっと、ちょっと知らないかなーって」
「そうですか、では少しだけ博識になってみましょう。」
曰く、アルテミスは狩猟と貞潔を司る女神らしく弓の使い手として神々の中でも一二を争う程の腕前らしい。
狩猟の女神の名の通り基本的に弓を番えるのは獣なのだが
曰くその矢の矛先は時には人間も向けられていたらしい。
一つ詳しくなった俺に、アルテミスは全力で矢を数本放ったのだった。