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【第6話】 核分裂反応Ⅱ

前回例示した核分裂反応を、もう一度振り返ってみよう。


パターン1

中性子を1個吸収したウラン235の原子核が、クリプトン92とバリウム141に分裂し、中性子が3個放出される。


パターン2

中性子を1個吸収したウラン235の原子核が、イットリウム95とヨウ素139に分裂し、中性子が2個放出される。


どちらの場合も、分裂前と分裂後の原子量(陽子と中性子の合計数)は「236」であり、完全に一致する。


ところが核分裂後の質量は完全には一致しない。分裂前に比べてわずかに減少する。


原子物理学では、この現象を「質量欠損」と呼んでいる。


それでは欠損した質量はどこへ行ってしまったのか?


それはもはや物質としては存在しない。


アインシュタインが特殊相対性理論で説いた通り、質量が熱エネルギーへと変換されてしまったのだ。


質量保存の法則が否定され、「E=mc2」が実証された瞬間である。


純度の高いウラン235が連鎖核分裂を起こした場合、それが全く制御されなければ、連鎖核分裂を起こす原子核は指数関数的に増大し、莫大な熱エネルギーが一気に放出される。


これが原子爆弾の正体だ。


しかし同じ連鎖核分裂でも、原子炉内で連鎖核分裂のスピードを制御しながら、一定のペースで核分裂が起こるようにしてやれば、穏やかな熱エネルギーを長時間取り出す事が出来る。


これを発電に利用したのが原子力発電だ。


つまり連鎖核分裂という観点から見れば、原子爆弾と原子力発電の違いというのは極論すれば反応スピードだけであり、原理的には全く同一の現象と言える。


原子力発電の仕組みは、簡単に言えば以下のようなものだ。


① 連鎖核分裂で発生する熱エネルギーで水を沸騰させる。


② 発生した高圧の水蒸気をタービンと呼ばれる羽根車に吹き付ける事によって、タービンが回転する。


③ タービンには発電機が接続されており、タービンの回転エネルギーが発電機に伝えられ、電気が発生する。


実は②から先の仕組みは、火力発電と基本的に変わらない。


つまり火力発電と原子力発電の違いは、水を沸騰させるために使う燃料が石油や石炭のような化石燃料なのか、核燃料なのかの違いに過ぎない。

『第7話 ウラン濃縮』は3月27日(金)20時に公開予定です。

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