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【第3話】 原子の構造

本作品の主要なテーマである「原子爆弾とは何か?」を解き明かす前に、我々はまず原子の構造について知らなければならない。


原子を構成するのは原子核と電子であり、原子核を構成するのは陽子と中性子である。


そして原子の種類によって原子核を構成する陽子の数は決まっている。


これは固有の数であるため、原子核を構成する陽子の数で原子を分類する事が可能となる。


こうして生まれたのが原子番号である。


例えば原子番号1の水素原子は陽子の数が1個であり、原子番号2のヘリウム原子は陽子の数が2個といった具合だ。


つまり「陽子数=原子番号」という単純な図式が成立する。


一方、中性子の場合は、もう少し話が複雑だ。


基本的には原子核を構成する陽子と中性子は似たような数である場合が多い。


そして同じ原子番号の原子核における中性子の数は1種類とは限らない。


実際には原子番号が同じなのに、中性子の数が異なる複数の種類の原子核が存在するのが一般的である。


このような原子核の違いによる原子の種類の事を、原子物理学では「核種」と呼んでいる。


そして原子番号が同じで核種が異なる原子は、互いに「同位体」という関係にある。


本来「同位体」とは、『陽子の数は等しいが、中性子の数だけが異なる原子同士の関係』という核種の関係性のみを意味する言葉であった。


しかし実際には『陽子の数は等しいが、中性子の数だけが異なる原子そのもの』という意味としても使われている。


そして「同位体」における核種の数と、核種別の存在比率は、原子番号によってまちまちである。


例えば原子番号8の酸素原子は、中性子の数が8個の同位体を始めとして、17種類の同位体が存在するが、自然界に存在する酸素原子の99.76%が、中性子の数が8個の同位体である。


つまり酸素の場合は、陽子と中性子の数が等しい同位体が高い存在比率を占めるが、逆のパターンもある。


水素の場合、自然界に存在する水素の99.985%が、陽子1個と電子で構成されており、中性子を持っていない。


このような中性子を持たない水素原子の事を「軽水素」と呼んでいる。


これに対して、陽子1個と中性子1個を持つ同位体の存在比率は、僅か0.015%に過ぎない。


このような中性子を1個または複数持っている水素原子は「重水素」と呼ばれる。


そして原子番号が等しい同位体のグループが「元素」である。


酸素の例で言えば、17種類の同位体は全て「酸素」という一つの元素という事になる。


従って「酸素」と一口に言っても、それが酸素原子を指す場合と、元素としての「酸素」を指す場合の両方があるため、注意が必要である。


つまり原子番号や元素によって特定出来るのは同位体のグループまでであり、個々の同位体までは特定する事が出来ない。


それでは個々の同位体を特定するには、どうしたら良いのだろうか?


そこで必要になるのが「質量数」という基準である。


「質量数」とは、原子核を構成する陽子と中性子の合計数の事だ。


元素の種類と質量数が分かれば、個々の同位体を特定する事が可能になる。


具体的には、以下のような書き方が使われる。


 ウラン238


前半の「ウラン」が元素を表し、後半の「238」が質量数を表している。


ウラニウム(ウラン)の原子番号は92であるため、「ウラン238」とは陽子が92個と中性子146個で原子核が構成されている同位体を指す事になる。


個々の同位体を表現する書式は他にもあるが、この書き方を使うと個々の同位体を簡単に特定する事が出来るため、非常に良く使われている。


次回は同位体について、更に掘り下げていきたい。

お読み頂き、ありがとうございます。

正確性を担保しつつ、出来るだけ分かりやすく書いたつもりですが、それでも一読しただけでは分からない文書になっているかもしれません。作品の構成上、避けては通れない部分であるため、ご理解頂ければ幸いです。

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