【第1話】 E=mc2
1905年、スイス連邦の首都・ベルン。
若き天才物理学者、アルベルト・アインシュタインは、後に特殊相対性理論と呼ばれる幾つかの重要な論文を発表した。
特殊相対性理論には、いくつかの重要な論点があるが、その内の一つが質量とエネルギーに関する単純な法則であり、それを数式で表現したものが、世界でもっとも有名な数式とも言われる「E=mc2」である。
特殊相対性理論において、質量とエネルギーに関するアインシュタインの結論は非常に明快だ。
「エネルギーは質量×光速度の2乗に等しい」
すなわち質量(mass)はエネルギー(E)であり、エネルギー(E)は質量(mass)である。
しかも両者には一定の法則性があり、数式で表現する事が出来る。
この結論は正しかった。
そしてこれは20世紀の理論物理学史上最大級の発見であり、ニュートンによる万有引力の発見に匹敵する大発見でもあった。
アインシュタインは、この時わずか26歳。
驚くべき事に、当時の彼の本職は物理学者ではなく、スイス特許庁の職員であった。
そしてこの大発見が、やがて人類に福音と災厄の両方をもたらす事になる。
次回は12月6日(金)20時に公開予定です。