Gun barrel型ウラニウム原子爆弾Ⅱ
前回述べた通り、原子爆弾の原料としてのウラン235はアメリカでは早々に放棄されたが、これは全世界でウラニウム原子爆弾の開発が中止された事を意味しない。
なぜなら発展途上国の中には原子力発電所を持っていないにもかかわらず、原子爆弾の保有を望む国が存在するからだ。
原子力発電を行っている国々が保有するプルトニウムは国際原子力機関により厳密に管理されているため、原子力発電所を持たない多くの発展途上国にとって、プルトニウムは容易に入手できない代物だ。
しかし天然ウラニウムの輸入となれば話は違ってくる。
天然ウラニウムは鉄や銅といった重金属と同様の採掘と輸出入が行われており、市場価格が存在する。
つまり天然ウラニウムはお金さえ出せば入手が可能であり、国際原子力機関による監視をくぐり抜けてプルトニウムを入手するより、よほど簡単と言える。
またウラン濃縮に必要な遠心分離機等の機材も、国際間取引が禁止されているわけではないので、入手は可能だ。
入手した天然ウラニウムを、採算を度外視して国内で濃縮するか、高濃縮ウランを他国から購入すれば、少なくとも原料の調達は可能という事になる。
もちろん高濃縮ウランが手に入ったからと言って、それだけでは原子爆弾の完成とはならないが、前回述べたGun barrel型であれば、高い技術力を持たない国でも原子爆弾の製造が可能だ。
こうしてアメリカにおいてはもはや技術遺産に過ぎないGun barrel型ウラニウム原子爆弾が、発展途上国が原子爆弾を手にする方法としてクローズアップされる事になった。
既に複数の国家が、秘密裏にウラニウム原子爆弾製造に成功したとの情報もある。
ただし通常これらの情報が公に発表される事は無く、真相は闇の中である。
イスラエルの核保有は公然の秘密だが、それすら公式には「持っていない」事になっている。
むしろ核保有を宣言した北朝鮮の方が例外的だろう。
1968年7月1日に署名・発効した核拡散防止条約は既に有名無実化しており、原子爆弾は現在も世界中に広がり続けている。
次回「臨界」は、5月20日(金)20:00に更新予定です。




