無警告射撃
銃を向けあっている。
敵は1人、だが俺にどうやら怨みがあるらしい。
それを聞くこともできないまま、道を歩ているときに決闘を申し込まれた。
初めは嘘だろと思ったが、その場で銃を向けられ、そのままの勢いで撃たれたら、それも本気なんだと気づかされる。
何も言われない、それほどの恐怖はない。
「なあ、話し合おうや」
しかし敵はバンと銃を撃つだけだ。
帽子やぶかぶかの服を着ているおかげで、男か女かすらわからない。
髪は短いが、女性でもショートの人は多いから、決めつけるのは禁物だ。
襲われていると携帯で連絡を取ろうとするが、声を聴いて、回り込んでさらに撃ち込んでくる。
おかげさまで、携帯電話を落としてしまった。
周辺は住宅街だから、誰かが連絡を取ってくれていることを切に願う。
しばらく膠着状態が続いた。
数分程度だっただろうが、その間に、遠くからパトカーの音が聞こえてくる。
「……またな」
その人はそれだけつぶやいて、それでようやく女性だと分かったのだが、それぐらいしか手がかりはない。
そうこうしているうちに、警察がわらわらとやってきたので、俺は詳しい話は分からないが、襲われたということを正直に言うしかなかった。