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黒剣と行く-第二跡地-  作者: 白姫
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見知らぬ洞窟にて

書き直しです。

黒い髪の少女は無言で立ち上がると、そのまま部屋から出ていく。

僕はしばらく動けないでいると玄関の扉が開かれる音が聞こえた。

僕はその音で我に返り慌てて女の子を追いかける。




僕が目を覚ますとそこは見知らぬ洞窟だった。

「ここは...どこだ?」

重い体を上げて、自分の身体を見る。

身体に怪我は無いが、身につけてるものが見窄みすぼらしい布一枚になっていた。

次に辺りを見渡す。

洞窟の壁には青く光る何かが付いており、それが洞窟を照らしていた。

僕はそれを手に取る。

「これは...石か?」

手に取ってみると青く光っていたのは鉱石だった。

僕は不思議な鉱石をいくつか手に取りその場を後にする。

次に目に付いたのは小さい石版だった。

石盤は小さく、膝ぐらいの大きさしか無かった。

とても前からあるのか、所々欠けており、彫られた字もかすれて読めなかった。

他になにか無いか辺りを見渡したが、特に何も無かった。

僕はさらなるここに関する情報を求めて先に進むことにした。


青く光る道を進んで行くと、やがて広い空間に出た。

大体は今までと変わらない天井に穴が開いている広いだけの空間だが、中央にある"それ"がこの空間を今までとは別の空間へと変えていた。


それは剣だった。

汚れ一つ無い夜のように黒い剣だ。

そんな剣が地面に突き刺さっていた。

僕は剣に吸い込まれるように歩いていく。

黒く禍々しい魅力を放つそれは天井の穴から差し込む光によって、さらに美しさが増す。

僕は手に持ってた石を地面に置くと操られたかのように、剣を掴むと引き抜いた。

さっきまで地面に刺さっていたのが嘘のように、小さい傷も土も無かった。


しばらく剣を見つめていると、僕は我に返った。

「なんで僕は得体の知れない黒い剣を警戒せずに引き抜いてしまったんだ」

慌て剣を戻そうとすると、何処からか声が聞こえた。

「久し振りの人間だ」

僕は驚き、咄嗟とっさに持っていた剣を構えた。

「誰だ!?」

辺りを見渡すが声の主は見当たらなかった。

「こっちだ、こっち」

僕は天井の穴を見たが、そこには青い空があるだけで何も無かった。

「こっちだ少年。今、少年が構えているのだよ」

その言葉に僕は剣を見る。

「そう、今構えたいる剣こそが俺だ」


「あなたはなんですか?」

僕はなんとか冷静を取り戻した所で剣に聞いた。

「剣は剣だ。他の何物でも無い」

僕は他の質問をしてみる。

「ここは何処ですか?」

「俺も知らん。何処かの洞窟だろ」

「そうですか...じゃああなたはどうしてここにいるんですか?」

「前の持ち主にぶん投げられて偶然ここに落ちたんだ。それで放置されて今に至るって感じだな。剣は自分では動けないからな」

「そうですか」

前の剣の持ち主がここに来て剣を刺したなら、その前の持ち主が入ってきた入り口から出ようと思ったのだが、この剣は偶然ここに落ちてきたらしい。

最悪この剣を足場にして、天井の穴から出ようと思っていると、剣から話しかけてきた。

「少年はどうしてここにいるんだ?」

「気付いたらここにいたんです」

「そうなのか?」

不思議なこともあるんだなーと不思議の塊が言っている時、僕は気付く。

(もしかしたら不思議同士、石版について何かわかるかもしれない)

僕は少しでも情報を集める為に、目覚めた時に近くにあった石版について聞いてみた。

「石版?ちょっと見せてみろ」

僕は黒い剣を持って、目覚めた所に向かった。


「ちょっと待て」

いきなり黒い剣が引き止めた。

「どうした?」

「この先に誰か倒れてるぞ」

黒い剣の言葉に耳を疑った。

確かに僕は誰とも遭遇しなかったはずだ。

「どうしてわかるんだ?」

「説明はめんどくさいからしないがとりあえず誰か倒れてるんだ。行けばわかる」

僕は言われるがまま先に進んだ。


少女が倒れていた。

本当に倒れていた。

「言った通りだろ?」

「どどどどうしよう」

「落ち着け。とりあえず生存確認じゃね?」

「し、死んでたらどうしよう」

「死んでたらその時だ」

僕は少女に近寄る。

おそらく同じぐらいであろう。少女は白く長い髪を敷きその上に横たわっていた。

少女の顔は整っており、目を瞑っている姿は絵本に出てくる眠りのお姫様の様だった。しかし、服装はお姫様のそれでは無く、僕と同じ見窄らしい布一枚だった。

少女から微かに呼吸音が聴こえるのを確認する。

(良かった。息はしてるようだ)

しかし、このまま放置するわけにもいかない。

少女の肩を掴み、軽く揺さぶる。

顔がピクリと動き、少女がゆっくり目を開く。

少女は、瞳を動かし周囲を確認すると微かに呟く。

「ここは…?」

僕は少女の問いに答える。

「何処かの洞窟だと思うよ」

少女は僕の言葉を聞くとゆっくりと身体を起こし、僕の顔を見つめる。

髪よりも銀色かかった瞳が真っ直ぐ僕を見つめる。

その視線に耐え切れず、顔を逸らして言う。

「あの…何か?」

少女は言う。

「誘拐?」

その言葉に一応、僕は誘拐犯では無いし自分も被害者だと告げる。

少女は少し考えてから口を開く。

「…信じる」

疑いの目を向けながらも信用してくれたことにホッとしてると、黒い剣が呟く。

「聞きたいことがあるんじゃ無いか?」

「あっ!」

少女にも何か知らないかを聞く。

「起きて早々に悪いんだけど何かここに関する事とかわかる?」

少女がブンブンと首を横に降る。

「…そもそも自分が誰かも思い出せない」

「そういえば僕も思い出せないかも…」

今まで意識しなかったが自分に関する記憶が霧がかかったかのように思い出せない。

あとちょっとで思い出せそう。あと少し、手を伸ばすだけで届きそうなのに届かない。そんな感じだ。

「おいおい、二人とも記憶喪失なのか?」

「そう…みたいだ」


手掛かりも無いまま僕たちはただひたすら出口を求めて洞窟を歩く。

靴が無かったらここまで歩けないだろう。

親切にも靴は結構しっかりしたものをくれたらしい。

僕たちはどんどん進んでいく。

やがて鉱石とは別の光が辺りに充満していく。

おそらく出口だろう。

「…出口?」

「きっとそうだ。行こう」

僕たちは光に向かって進んだ。


洞窟を抜けるとそこは樹々が生い茂る森の中だった。

(洞窟の次は森…か)

まだまだ家には帰れそうに無いない。

僕は果てしなく続く樹々を見てそう思う。

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