安倍晴明時空奇談ー運命の二人ー
良源とは別名を角大師と呼ばれており、悪鬼や怨霊などを
祓う時に、霊力の強大さ故に頭に角を生やした姿となる為に、人々から
そう呼ばれる様になった人物である。
良源は晴明より九歳年上で、師の忠行と共に比叡山へ赴いた時に偶然か
運命だったのか知り合いとなり、以降は晴明が悩んだり色々とあった時
話しを聞いてもらったり、力を貸してもらったりした仲で、唯一晴明が
自分の事をさらけ出せる事が出来る相手であった。
良源の方も晴明の孤独や悲しみ・苦しみを痛い程分かっていて、それが
自分と重なる部分もあり、ほって置けず一度は仏の道に誘ったが晴明は
引き受ける事はなかった。
晴明の父が陰陽師として大成する事を願っていたと、忠行から聞いた為
その思いを胸に、どんなに悔しくて辛くて挫けそうになっても、耐えて
来たのでした。
しかし、晴明自身の仕事が増えて、忙しくなるにつれて、良源の仕事も
同じ様に忙しくなり、中々会うことも叶わなくなっていた。
晴明は気持ちを切り替えて、十二神将召喚の為に意識を集中して自身の
身を清める為に、滝行を開始した。
その後、御幣で円陣を作り、滝の底から集めた石で円陣の丁度中心に
五芒星の形を作り、その円の中心へ晴明は立つと呪文を唱え始めた。
「天将十二神将よ、我が呼びかけに応え我が声を聞き、我が命を受け、今こそ
招来し約定を結びたまへ」
晴明が最後の言霊を唱え終えると、急に円陣から大きな光りの輪と共に念願の
十二神将達が姿を現した。
「我らを呼んだのはお前か?何用だ・・・」
「返答次第では、命は無いものと思うが良い!」
「しかし、何だ?人の子にしてはこの気は強すぎるが、一体何者だ?」
「うむ、そうだな。人が持つ普通の気では無いな・・・」
各々、神将達は探る様に晴明を取り囲んだ。
「十二神将達よ、私は陰陽師安倍晴明と申しますが、是非京の都を救う為に
力を貸して欲しい」
「これより私の式として、友として私の天寿が尽きるまで私に仕えて欲しい」
「晴明と申したな。我らを式としたいとは笑し!」
「そうだ!何故誇り高き神の末席とも言われる我らが人に仕えねばならぬのだ」
「いくら都の為といえど、我らを呼び出せた力があるとは言えお門違いだ」
流石の晴明も、神将達から放たれている神気に周りを囲まれている為、精神を
集中していないと、意識が飛んでしまいそうな圧倒的な圧力の気であった。
しかし晴明は、自身の前世を思い出している今、都和香との絆もあり、今一度
精神を集中して、魂の内なる中に眠っている神の力を覚醒させた。
「何だ?こやつ本当に人の子か?まるで神の気の様に変化したぞ」
「本当だ・・・。一体何者なんだ・・・」
神将達がざわめき出した。
そして晴明は内なる力を全て覚醒させると、すかさず神将達に畳みかけた。
「神将達よ!申し訳無いが時間が無いのだ!力尽くでも式になってもらうぞ」
「もう生温いやり方は辞めた。神将達よ、我が魂の中で従えて見せよう!」
「天将十二神将達よ!我が魂の中へ来よ!」
そう言うと晴明は、新たに呪文を唱え出した。
「なっ何と言う霊力だ!引きずり込まれる」
「くっ何故、人の子にこれ程の力があるのだ?」
各々、抵抗も虚しく神将達は晴明の魂の中へ吸い込まれて行った。
「くっ、はは、流石に十二神将達全てが入ると、やはりかなり辛いな」
晴明にとっては想像を超えた苦しさになったが、必死に集中力を上げて耐えた。
しばらくすると、晴明の頭の中に神将の声が聞こえて来た。
「もう、分かった。そなたの魂の記憶も読んだ。そなたの宿命も読んだ」
「人の子に生まれし神よ。神の魂を持つそなたなら、我らの主に申し分なし」
「これから先、永遠に貴方と共にあり、よく命を聞き、式として約定を結ぼう」
「皆、意見は同じ。約定を結ぶ為、外へ出して欲しい」
その言葉を聞き、晴明は意識の集中力を解き、神将達を外へ出した。
外へ出た神将達は、初めの態度とは打って変わり晴明の前にひざまづいた。
「ではこれより、そなた達十二神将はこの晴明の式として約定結び、これより先
この約定、違える事無しと思え」
「御意」
十二神将全員が揃って口にした。




