安倍晴明時空奇談ー運命の二人ー
朝からシトシトと降る雨音が、都和香の眼をようやく目覚めさせた。
「もう朝?いけない・・・私・・・あれから眠ってしまったのね・・・
今、何刻頃かしら?」
「はっそう言えば晴明様は?晴明様は何処かしら?まさか夢だった事は
無いわよね・・・」
都和香は不安と焦りを感じながら辺りを探して見るが、晴明の姿はなく
ただ、夢ではなかったと、少し安心出来たのは、自分が動き回った時に
自身の着物からふわりと晴明の香の、残り香に気付いたからでした。
「晴明様・・・」
都和香がポツリとつぶやいた時、桃花が心配そうな面持ちをしながら足早に
都和香の元へやって来た。
「都和香様、起きられたのですね、色々大変だったとお聞きしております」
「私、心配で心配で、御様子だけでもと思い見に参ったのです」
「御加減はいかがですか?」
「桃花、ありがとう。私は大丈夫よ、色々あって疲れもあっただけだから
ゆっくり眠って、回復したみたい」
「そうですか、安心しました」
「それより桃花、晴明様は何処かしら?」
その言葉に桃花は一瞬身体をこわばらせた。
「桃花?」
「はっはい、あの、その事で都和香様にお伝えしなければいけない事が・・・」
「どうしたの?」
「都和香様、実は晴明様から伝言がございまして・・・」
「あっあの、晴明様はこれからに備える為に修行に専念なさるそうで、しばらく
都を離れる為、会えないけれど待っていて欲しいと・・・」
「そう・・・。分かったわ、正直寂しいけれど、信じて待っている事にするから
桃花もそんなに心配しなくて大丈夫よ」
「都和香様・・・」
都和香は自分の前世を思い出している今、晴明との前世から続く愛と絆が彼女を
強くしていた。
二人がやり取りをしている間に、いつの間にか雨も止み、曇り空から日の光りが
差し始めていた。
その頃、晴明は忠行に今回の出来事の詳細を報告し、改めて十二神将召喚の許可と
修行に出る事を願い出ていた。
そして、敵の黒幕に晴明が生きていると悟られぬ様に「晴明は死んだ」と嘘の噂を
流してもらう事にした。
そして、忠行と保憲でしばらく京の町を守る事となり、晴明は修行の為、京の町を
離れ、一人で紀の国熊野へと旅立って行った。




