安倍晴明時空奇談ー運命の二人ー
場面は、映画のワンシーンの様に閻魔王の治める閻魔王宮へと移って行った。
幼き神は、長が頼んでくれた仏神界の、修行の身である不動と言う者の案内で
閻魔王宮へと到着した。
この不動こそ、将来不動明王となり、晴明の密かに念仏する仏神界の神となる
者なのである。
神々は穢れが苦手であり、神々の発する光りと強い力の為、神仙界におられる
者には頼めず、長としても動く事は出来ない為、穢れが及ばない慈悲を役目と
する仏神界へと声を掛けて頼んだのだった。
「よう来られましたな、幼き神よ。長殿からお話は聞いております」
「わしがこの閻魔王宮を管理して、亡者に魑魅魍魎など穢れや亡者の裁判など
一切を、他の判事を役目とする者と共に統括しております」
「それでは貴方が閻魔王ですか?」
「いかにも・・・」
「不動よ、ご苦労であった。ここはわしが結界を張ってあるから、そなた自身
もう、仏神界へと戻るが良い。後は大丈夫じゃ」
「それではこれで失礼します」
「不動、ここまで案内と守護をありがとう。長様にもよろしく伝えておくよ」
「ありがとうございます。こちらこそ、神との縁を持てた事嬉しくて、貴重な
経験が出来たと思うております。それではこれで戻らせていただきます」
そう言うと、不動は仏神界へと戻っていった。
「では、幼き神よ。わしの後ろにいて、しばらく亡者の裁判を見学してもらう
様に願えますかな」
「わしを含めたあちらにある姿見の鏡まで、結界を張っていますがくれぐれも
わしの許可無く、背後から離れたり結界内を出ない様にお願いします」
「亡者達はあの姿見の鏡の手前で判定を受けるが、何が起こるか分からぬから
頼みましたぞ」
「はい、分かりました」
そして、何人もの亡者の裁判が始まっていった。
何人もの裁判を背後で見ながら、幼き神はふと疑問が湧き、閻魔王に裁判後に
聞いて見ることにした。
「閻魔王に聞きたい事があるのですがよろしいですか?」
「勿論じゃ。丁度一区切りついた所ですからお聞きしましょう」
「閻魔王は、こんなに沢山の亡者達を判断なさる時に、迷われる事は今までに
無かったのですか?」
「無いですな。幼き神も見てこられたと思うが、あちらの姿見の鏡でその者の
全てを、心の奥までも全て映し出して見ますから、どんなに表面で繕ったとて
どんな嘘を言ったとしても、鏡が真実を示し映し出しますから迷いません」
「それに、永遠に近い時の中で迷いや甘さがあっては、この黄泉の国の裁判官
として失格でしょう?」
「それは・・・確かに・・・。私はまだまだ甘いのですね・・・」
「幼き神よ、人の業はそれぞれ重さも違うし、与えられた宿業
に耐えられずに、魂が闇に堕ちる者もいる」
「特にここでは人の良い所も悪い所も、弱い所や強い所など、神の高い視覚では
見えていない事も知る事になる。それがそなたが学んで知るべき事なのです」
「素晴らしい神となられる為にと、長殿が他の神々に頼み込まれて実現した事で
あるから、心して学ばれよ」
「そうだったのですね・・・。私も精一杯頑張ります」
それからも、数え切れない亡者の裁判を見届けながら時が流れていった。
そんな時、閻魔王の元に一人の亡者の少女がやって来たのでした。




