安倍晴明時空奇談ー運命の二人ー
篁はこのまま自分が都和香を守って行く存在になれないかと、誘惑に惑わされそうになり
その想いを何とか理性で断ち切り、都和香を冥界へと連れ立つ為に準備をする事にした。
「さあ、都和香殿、気持ちは分かるが早く冥界へ晴明殿を迎えに参ろう」
「私は、晴明殿の亡骸に術を施したら一度屋敷へ戻ります」
「私の屋敷で、晴明殿の亡骸を預かりそれから冥界へ迎えに行きましょう」
「はい、分かりました」
篁は晴明の亡骸に術を施し、腐敗を止め牛車に乗せ、屋敷へ戻った。
晴明の亡骸を部屋へ運ぶと、早速篁は都和香を連れて冥界へ行く準備をした。
篁は、暗闇の中都和香と共に、とある井戸の前にやって来ると都和香に声をかけた。
「都和香殿、これから冥界へと参りますがこの井戸を通りますから、私にしっかりと捕まり
良いと言うまで、目を閉じていて下さい」
「分かりました。頑張ります」
「さあ、では参りますよ」
そう言うと篁は、都和香を抱えて井戸の中へ飛び込んだ。
一方、冥界へ着いていた晴明は丁度、閻魔王の前にいた。
「晴明よ、来てしもうたか・・・」
そう言うと、閻魔王は大きくため息をついた。
「閻魔王よ、私は最後に愛する事を知り、その愛する者を守ってここへ来た所です」
「だから、思い残しはない」
「晴明よ、本当に思い残しはないのか?偽るでない」
「都和香の事、本心は身を引き裂かれるほど心残りであろう?」
「それは・・・」
そこから晴明は言葉が出て来なかった。
図星だったからだ。
本心は、都和香を守ったとは言え、もうそばにいてやれない事や会話する事も出来ず恋心を
伝える事も出来無い。誰かの者になっても文句も言えない。
そんな事が脳裏をよぎり、晴明の心を苦しめた。
「晴明よ、本当ならあの場で死ぬ予定では無かったのだ」
「存在は明かせぬが、本来の流れを術で持って歪められ起こった事」
「誰なんだ・・・それほどの力を持っているのは・・・」
「何とか間に合ったか・・・」
そう言って、不動明王が現れた。
「なっ不動明王様か?」
「閻魔王よ、この者横死なりて、即刻禁忌の札を用いて復活させてもらいたい」
「分かっております。時が来たのでしょう」
「閻魔王よ、ありがたきお言葉だ。もう少ししたら篁と都和香もここへ着くだろう」
「都和香が?ここへとはどう言うことですか?」
「まさか、都和香まで・・・」
「晴明よ、早まるで無い。我が部下にして冥官の篁が案内して来るだけだ」
「そっそうですか・・・」
「晴明よ、そなたは本当にあの者の事となると、何も見えなくなるな」
「まあ、前世を考えれば、仕方がない事かも知れぬな」
「それは一体どう言う・・・」
晴明が言葉を続けようとした時、篁と都和香が到着したのでした。




