安倍晴明時空奇談ー運命の二人ー
晴明は都和香を抱きしめたまま、崩れるようにその場に倒れ込んだ。
「キャー晴明様!!」
都和香は叫びながら、パニックになった。
都和香の叫んだ声と、晴明の傷口から流れ出ている血の臭気により
通り過ぎたはずの百鬼夜行が気付いてしまい、二人のいる場所へと
方向転換をして、戻り始めた。
「血の臭いだ~」
「美味そうな血の臭いがするぞ~」
「見つけた~見つけたぞ~。人がいるぞ~」
「女もいるぞ~」
「殺せ~食い殺せ~。本当に美味そうだ~」
百鬼夜行は口々に連呼しながら叫びながら、どんどん近付いてきた。
晴明は消えそうな意識の中で、招喚術の言霊を唱え始めた。
「陰陽の理において大地を守りし四地神よ、どうか我が呼び掛けに
答え応じて、我が元へ招喚願う」
「東に青龍・西に白虎・南に朱雀・北に玄武・・・姿を現し・・・」
晴明が必死に最後の言霊を唱えようとした時、百鬼夜行の先頭の妖が
飛びかかる様にして、晴明へと襲いかかった。
「がはっ!!」
晴明の口から多量の血が流れ出た。
晴明は都和香を守る為に、抱きしめ覆いかぶさった状態でかばい続け
もう意識がかすれ、言霊も上手く紡げなかった。
都和香は目から大粒の涙を流しながら、これ以上晴明が傷付いて行く
事が耐えられず、何とか晴明の腕の中から抜け出して自分が囮になり
晴明を助けたかったが、がっちりと抱きしめられ覆いかぶされていて
身動き一つ出来ずにいた。
「すまない・・・。油断した・・・」
「私が・・・食われてしまうまでには・・篁殿・・が来て・・救って
くれるだろう・・・」
「だから・・・このまま・・耐えて・・ほしい」
「都和香殿・・と・・・会えて・・良かった・・・」
消え入りそうな声で、晴明は自分の死期を悟り、都和香に伝えたが
容赦なく百鬼夜行の妖達が、次々に晴明に襲いかかってきた。
「うっぐっ!!」
晴明は必死に痛みに耐えていたが、もう意識は無くなりつつあった。
そこへ追い討ちをかける様に、別の妖が晴明へと襲いかかった。
「いやー!!やめてー!!」
あまりの情景に都和香はたまらず叫んだ。
その叫びと共に都和香は気を失った。
気を失った都和香の身体から、金色・銀色の二重の光のオーラが輝き
その光が放射状に広がり、晴明に襲いかかっていた妖達は消し飛んだ。
そして晴明の下からするりと都和香の身体が抜け出ると、晴明の前へと
庇うように降り立ち、都和香の目が開いた。
しかし、今の都和香の意識体ではなかった。




