安倍晴明時空奇談 ー運命の二人ー
第三章 死別の章
その日はいつもより静かな朝でしたが、何か不安を感じさせる様なそんな
緊迫した様な朝でもありました。
早くから起きて準備していた都和香の元に桃花が足早にやって来た。
「都和香様すみません、御主殿様が急ぎお呼びでございます」
「篁様が?分かったわ、すぐ行きます」
こんな早くから呼ばれるという事は何か重要な事があるのかも知れないと
思った。
それと同時に何か朝から張り詰めたような空気が町を覆っている気がして
気になっていた。
「篁様、都和香です。入ってもよろしいですか?」
「ああ、待っていたよ。入っておいで・・・」
「あの、ご用件は何でしょうか?どうかされたのですか?」
「都和香殿、いきなりだがこの朝の様子、どう思われる?」
その言葉に都和香は、ああやはりその事なのだと腑に落ちた。
「何か静かすぎるし、音がないわけでは無いのですが、空気が張り詰めた
様な緊迫した感じがします」
「なるほど・・・。実は私も同じ意見です」
「なんだか嫌な予感がする。今日は中止するべきか・・・」
その言葉に都和香はためらった。
晴明と会えないと言う事が都和香の顔を曇らせた。
「あの・・・」
しかし都和香はそれ以上何も言えなかった。
自分のわがままで、また危険な目に合わせてしまうかもしれないからだ。
その様子に篁はすぐに気付くと、諦めのため息をついた。
「都和香殿、どうしても行きたいのですね」
「えっえっと・・・それは・・・」
「ふぅ、都和香殿、顔にも言葉にも行きたいと滲み出ていますよ」
「あの、すみません」
「謝らなくてもいい。ちょうどお話ししようと思っていた事があってね」
「以前に人神になっている神を救って頂きたいと言ったと思うが、実はね
その方は、もうお会いしている安倍晴明殿なのですよ」
「えっ・・・嘘・・・本当に?」
「本当ですよ。私とて貴方を土蜘蛛から救ったのが晴明殿だと聞いた時は
とても驚きましたからね」
「ですから本日は予定としては二度晴明殿に会う予定でした」
「都和香殿が約束していた予定の後、参内し、お披露目の後再度お会いを
してもらう予定にしていました。」
「本当は偶然を装ってお会いしてもらうつもりでしたが、土蜘蛛の一件で
少し予定変更する事になったのでね」
「晴明殿は何も知らない事ではあるから、凄く驚かれるだろうし、どんな
反応をされるか、私にも分からない」
「とにかく本当は中止したいところですが、参内のお披露目のみを中止し
私が始めからご一緒して晴明殿にお会いする予定に変更しましょうか」
「本当ですか?」
「ええ、ただし桃花はここに残します。何かの時二人守るのは難しいので
ご理解願いますね」
「はい・・・」
その会話から何刻過ぎただろうか。
篁が都和香の部屋へ迎えに現れた。
「都和香殿、そろそろ行きましょうか」
都和香は立ち上がり、篁と共に表に停めてある牛車に乗り約束の場所へと
向かった。




