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安倍 晴明時空奇談 ー運命の二人ー
「今話した通り失敗は許されない案件だ」
「まず時空越えをし、未来の世界へ」
「そして運命の女人を平安時代へ連れてくる事」
「その後は分かったな・・・。頼むぞ篁よ」
「御意。魂賭けてこの篁、成功なる様努めます」
真剣な面持ちで篁はそう答えた。
そして閻魔王と共に準備に移った。
ー時は現在の世界ー
バスに乗車していた都和香は、ふと前方に見えた
川の横の柳の木がなぜか凄く気になり
思わず降車ボタンを押してバスから降りると
道路を渡り、その木の方へ近づいて行った。
柳の木の横には、車が丁度通れるほどの
小さめの橋があり、[戻り橋]と書かれていた。
それを見た彼女は胸が急に何故だか分からないが
切なくて苦しくて、立って居られなくなった。
その時、黒い雲が彼女を包み込む様に現れると
そのまま飲み込む様に彼女と共に消え去った。
どれだけの時間が過ぎた事だろうか?
お香のよい香りが鼻をかすめ、それが刺激で
彼女は目を覚ました。
「一体私、どうしたのかしら・・・」
「それに、ここはどこ?・・・」
辺りを見渡せば、彼女のいた現在では見ない様な
豪華な家具が並んでる豪奢な部屋にいた。