安倍晴明時空奇談 ー運命の二人ー
「師匠・・・もうお許し頂いてもよろしいですか?」
「フォッフォッフォッ本当にそのように狼狽えるのは初めてだな」
「しかしお前のことをそこまで骨抜きにした姫君を見てみたい」
「本~当~にお許し頂いてもよろしいですか?」
「分かった分かった・・・。まずは先の怪異の件を解決せねばな」
「十二神将召喚については、わしも初めての事になるからもう少し
時間を貰うぞ。成功出来るように色々再度調べてみる」
「晴明、明日も忙しいのだろう?もう良いぞ、帰って休め」
「あっそうだ・・・。明日・・・」
「なんじゃ、また顔を赤くして・・・」
「そっそんなはずは・・・。ではお先に帰らせていただきます」
晴明はそう言うと、顔を赤くしたまま照れ臭そうに足早に去って行った。
忠行は直感で、もしかすると篁が言っていた例の姫と、何かのきっかけで
出会ったのかも知れないと思った。
今まで晴明の心を動かした姫君は誰一人としていなかったのも理由の一つ
でもあった。
何より晴明の雰囲気が、あそこまで変わったのだから、多分そうなのだと
忠行は思った。
一方、小野篁の屋敷では都和香が桃花と共に晴明への贈り物を作っていた。
小さな鈴と気に入った布のハギレで鈴付きの香袋を作るために、奮闘した。
鈴と香は魔除の効があるとされていたので、お守りがわりになればと思って
決めたのでした。
「この鈴をこう付けて・・・。よし、完成ね」
「ねえ桃花、これでどうかしら?」
「素敵ですね。これなら喜ばれると思いますわ」
「良かった・・・。初めて作るし、ちゃんと出来るか心配だったのよ」
「完璧ですよ。でも明日はうまくお渡ししても御主殿様とのご予定が・・・
あまりゆっくりと出来ないかも知れませんね」
「仕方がないわ・・・。まだお会い出来るだけでも喜ばないとね」
「それにこの前のお礼もきちんとお伝え出来そうだし、明日が楽しみね」
「さあさあ、都和香様そろそろお休みになりませんと明日はお早いですよ」
「そうね、そろそろ休むことにするわ」
都和香は床に就きながら篁が言っていた、人として生を受けた神を自分が
救わなくてはいけない事を思い出していた。
明日、参内してお披露目の後、会う予定になっていると以前に篁から聞いて
いた。
その事を考えると不安が押し寄せてきたが、晴明と会えるという事を思うと
不思議と不安な思いは消え去っていた。
そうして一つの大きな転機となる日をそれぞれの想いの中それぞれが迎える
事となるのでした。




