安倍晴明時空奇談 ー運命の二人ー
「そうそう、一つ余談ですがいつぞや悪言ばかり言っていた者が神の罰を受けて
とうとう声を出す事が出来なくなり、病の床についたと聞いた事があった」
「お二人共、気をつけなされた方がいい」
「さて、貴方たちと違って私は忙しいので、失礼する」
それを聞いて二人の陰陽師はさすがに顔色を変えて、何も言えず立ち尽くした。
そんな様子を見て晴明は少しは反省してほしいものだと思いつつ歩みを早めた。
晴明自身本当は、悪言など言いたくも無いし、呪術を使ってまで仲間である者を
傷付けたくは無いと思ってはいるが、どうしても言われた内容やされた仕打ちに
我慢出来ず、これまで何度も抑制が効かず暴走してしまい、日々人間不信になり
人間嫌いになって行く自分がいた。
そんな現状が多いため、弟子として幼少の頃から世話になり、一緒に住まわせて
もらっている恩師の忠行にしろ、息子の保憲にしろ、本心を見せる事が出来なく
なってしまっていた。
そんな晴明だったが、昨夜出会った都和香の事を思い出すたび心が高揚し、胸が
高鳴り熱くなり、煩わしいと思う日常に対して光に包まれ心の氷が溶けて暗闇の
世界から解き放たれた様に思えた。
晴明にとっては初めての感情で、幼少の頃から強大な霊力の為に、父から忠行の
元に弟子として預けられてからは、周りとは一線を引いて壁を作る事で、自分が
壊れないでいられた様なものだったので、驚きつつも都和香を必ず手に入れたい
誰にも渡したくないという執着心まで大きく膨らみ持て余すまでになっていた。
外の仕事を終えて晴明が陰陽寮へと戻ると、すぐに忠行に呼ばれ部屋へ向った。
「師匠、晴明です。入ってもよろしいですか?」
「おお晴明か、入って報告してくれるか」
「はい、では失礼します」
「どうであった?例の怪異の件解決出来そうか?」
「その件ですが・・・少し厄介な事になるかも知れません」
「どうゆう事なのだ?」
「もしかすると菅原道真公の御霊が絡んでる様なのです」




