安倍晴明時空奇談 ー運命の二人ー
「そう言ってもらえて嬉しいよ。さあ、今日は疲れたでしょうから
ゆっくりとし、休まれる方がいい」
「ああ、そうだ後で唐菓子を部屋へ届けさせましょう。甘いものを
食せば疲れも楽になるでしょう」
「篁様・・・。ありがとうございます」
「ではこれで失礼させて頂きますね。お休みなさいませ」
「ああ、お休み・・・」
都和香は自身の寝殿へ戻りながら、篁に心配をさせてしまった事を
反省しつつ、晴明自身が自分が救うべき人物だったという事に対し
驚きもしたが、胸の高鳴りの方が大きく何よりも明後日にもう一度
会えると言う事が、頭の中でいっぱいになっていてそれが恋だとか
愛だとかと言う事には、まだ気付いていなかったが今までに感じた
事のない思いを感じつつ、ただ嬉しさに自然と顔もほころんだ。
ー次の日の朝ー ー陰陽寮ー
「おい、来たぞ」
「ああ、晴明か。今日は何をしていじめてやろうか?」
「おや?こんな人里に、それも帝のいらっしゃる内裏の中人の姿を
した物の怪が現れたぞ」
「おお、本当だ!白狐ではないのか?早く退治せねばな」
それを聞いて晴明は、いつもなら許せずにすぐに呪術で反撃をして
懲らしめるのだが、何故か心が凪いでいて淡々と言い返す事だけで
十分だと思った。
「さあて、その狐の力に到底及びもしない貴方がたは、それ以下の
何者でしょうね」
「今日の私は機嫌がいい。貴方がたの悪言も鈴虫の如く感じますよ」




