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安倍 晴明時空奇談 ー運命の二人ー
ー時をさかのぼり平安時代ー
京の都の深夜。現在と大きく違いどこまでも続く
夜の闇が広がっていてそんな中、
一本の火の灯りだけが動いていた。
火の灯りを使用している人物は東山方面の
六道辺りまで来ると、その奥の方に見える
古井戸へと近づき、そのままその古井戸の中へ
飛び込んで消えて行った。
その人物こそ小野 篁である。
彼は昼間の間、帝に仕え働いていて
夜は黄泉の国の王である閻魔王に仕えており
逃げ出した亡者の捕縛や魑魅魍魎・妖魔の退治を
する事が仕事であり
あの世とこの世を行き来している役人なのである。
その篁が閻魔宮に到着すると、閻魔王が
何か困った様な思案している様子で鎮座していた。
篁が近づいて来た事に気づいたのか
「よう来た篁よ・・・。待っておったぞ」
そう重々しい口調で閻魔王は篁に声を掛けると
深い溜め息をもらした。
「閻魔王様急なお呼び出しですが何事でしょうか?」
「何かお悩みのご様子ですが重要案件なのですね」
篁がそう声を掛けると、閻魔王は篁を自分の近くへ
呼び寄せ重い口を開いた。
閻魔王の内容に篁は想像以上に驚く事となる。