安倍晴明時空奇談 ー運命の二人ー
桃花と共に玄関へ出ると女房の一人が準備の手伝いも兼ねて出迎えてくれた。
女房が都和香の最終の身支度を整えると、牛車の乗り口へと案内して乗降まで
手助けをしてくれたのでした。
都和香が乗り終わると、桃花が次に乗ってきて準備が済むと桃花の合図の声で
牛車がゆっくりと動き出したのでした。
「都和香様、大丈夫ですか?」
「何かあれば何でも言って下さいね。まだ病みあがりなのですから・・・」
「ありがとう、桃花」
都和香はこの世界へ来てからの事を思い返しながら、自分のいた日常と比べて
相手を本当に心から純粋に気遣ってくれた者はどれだけいただろうか?
出会った中には一人もいなかった。
仕えているからでは無くて、心から気遣う清らかな心根が真実なのだと伝わり
本当に身にしみて嬉しかったのでした。
二人での買い物が盛り上がり過ぎた為、夕刻近くになってしまい慌てて帰宅を
急ぐ事となってしまいました。
実は最近、都には恐ろしい妖魔達がたくさん現れて、人々を襲っている事件が
相次いで起こっており、篁からは夕刻までには帰宅する様に言われていたのに
楽しくて時間の事をすっかり忘れてしまったのでした。
「都和香様、申し分けございません。もっと時刻を気にしておくべきでした」
「そんなに落ち込まないでね。私も楽しくて篁様の言い付けを忘れてたのよ」
「篁様には、私から謝るから何も心配しないでね。さあ、急ぎましょう」
「はい、都和香様ありがとうございます」
帰り道、急に牛車の牛が咆哮轟かせ狂った声で鳴いたかと思うと、今度は牛を
引っ張っていた従者の者が悲鳴をあげ、牛車が大きな音と共に止まってしまい
二人は何が起こったのか確かめる為、恐る恐る牛車から降りたのでした。




