安倍晴明時空奇談 ー運命の二人ー
「本当に上手くいって良かったわ。正直言って、凄く不安だったのよ」
「桃花の母様のおかげね。私、本当に何も分からなかったのに、丁寧に
一から教えて下さったから、成功出来たんだと思うわ」
「もったいないお言葉ですわ。母が聞いたら喜びますから伝えます」
「ええ、よろしく伝えておいてね」
都和香は嬉しそうに桃香にそう言うと、出来たての香を早速焚き始めて
着物に香りを移して行った。
当時はそうして香りを着物に焚きしめる事が一般的で、現在で言うなら
香水に当てはまるだろう。
都和香はそれから和歌や漢詩に琴など、一般作法を桃花から教わり続け
平安時代へ来てから二〜三週間が過ぎていました。
庭の桜の花も、風に吹かれて桜吹雪となり屋敷の庭を桜色に染めていて
その合間から小さな野草の花が顔を出し、池の近くには山吹の花が咲き
その奥では、竹林が青々としていて、澄みきった空に緑の竹林に加えて
そこへ、風に舞う桜の花びらが舞い落ちて、何とも言えない情緒のある
風景を織りなしていた。
都和香も一人前とは行かないまでも、日々学び、成長して平安時代での
生活にも溶け込んで行った。
篁から近々宮中へ参内する事になると告げられた都和香は、緊張しすぎ
熱を出して倒れてしまった。
それを聞いた篁は、宮中では何も心配しなくても、全て任せてくれても
大丈夫な事だと、都和香に伝えて安心させた。
そして緊張を少しでも無くすために、体調が良くなったら町中へ見物を
兼ねて桃花と買い物に出かけて良い事になった。
二日後、町へ出掛ける日がやって来た。




