安倍晴明時空奇談 ー運命の二人ー
「都和香殿、貴方が気になさる事は無いのですよ・・・。貴方は本当に
これまで嫌という程、傷つきながらも耐えてきたのだから」
「貴方は今のそのまま、清らかな心のままで良いのだから、もう自分を
責めなくていい。良く耐え、良く頑張って来たね・・・」
その言葉に、都和香は張り詰めてきた糸が切れた様に止め処もなく涙が
溢れ出し止まらなくなった。
しばらく篁は都和香を包む様に抱き留め、涙が治るまで寄り添った。
「落ち着きましたか?さあ、夜も深い・・・。そろそろ休まれたほうが
身体に良い。今日は疲れたでしょうからな」
「明日からは当面、私の妹姫として頑張って頂かないとなりませんから
桃花に色々教わり、早く平安の世に慣れて下さい」
「はい、分かりました・・・。あの、取り乱してしまってすみません」
「良いのですよ、それだけの事を抱えていたのだから・・・。ですから
気になさる事は無い。さあ、私も自室へと戻ります」
「ありがとうございました。おかげで少し楽になりました」
「お休みなさい、篁様」
「ああ、お休み。何かあれば桃花に言うといい」
篁はそう言って立ち上がると、自室である寝殿へと向かって歩んだ。
平安時代、小野篁も含めて豊かな暮らしが出来た者は寝殿造りと呼ぶ
屋敷に住んでいました。
家の中心は寝殿となっており、現在で言う大きめのワンルームの部屋で
主に行事や、来客の接待を行うと同時に屋敷の主人の居間であり続いて
北の対に東の対そして西の対は主に妻や子供たちが暮らす後宮のような
場所で、後は釣殿に泉殿と呼ぶ場所があり釣りをしたり、夏の納涼の他
宴会の場所でもあり屋敷内の池に面して建てられていました。




