ー運命の二人ー
第一章 始まり・出会いの章
「誰か私を助けて!」
「私は何を信じればいいの?」
「苦しくて情けなくて、もう何もかも嫌だ・・・」
そんな思いを持った一人の女性が、心の傷を癒す為に彼女の大好きな京都へと
休暇を取って向かっていた。
そう、今から思えばその日が彼女にとっては運命の日になるなどとは想像すら出来ない事
だったに違いない。
彼女の名前は瑞月 都和香と言い、肩まで伸びた黒髪にかわいい容姿の為か、良くも悪くも
年齢を下に見られるのは日常茶飯事の事で、社会へ出てから何年かが過ぎたが
現在の日常とも言われているストレスだらけの社会の中で、人間不信が年々積もり心が傷つき
つらくて苦しい毎日を過ごしていた。
そんな毎日の中でも(前向きに)と自分に言い聞かせて、頑張って来たがそれがまるで海の波が
砂の城を崩す様にことごとく、人間関係と言う大きな波に彼女は崩されてしまっていたのでした。
「どうしてこうなるの?・・・理不尽すぎる・・・」
何回彼女はそう思った事だろうか?
上手い事を言われ利用された事や、沢山の辛い事が彼女の頭の中を駆け巡り京都へと向かう中
目から涙がとめども無く溢れ出て来たのをハンカチで拭った。
京都へ到着し降り立つと、まるで何かに引かれる様にそのまま市バスの停留所の方へと歩んだ。
ふと我に返るとある番号の停留所の前に彼女は立っていて、ちょうど時間らしいのか
バスがやって来て目の前に停車して来た。
「そう・・・心のリハビリをしなくちゃ・・・」
小声でそう言うと、まるでそのバスに吸い込まれる様に彼女は乗車した。