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いい人止まりの俺

ー序章ー


俺、佐藤さとう 徹とおるはごく普通の男子高校生だ。


勉強はあまり得意な方ではないが、落第するようなひどい点数を取るわけでもなく、かといって上位の点数にはくいこまないような平凡な成績だ。

運動神経だって、クラブはしていないが平均ぐらいはあるだろう。


また、クラスの人たちとも普通に仲がよく、なに不自由ない学校生活を送っていた。


そんな普通な俺にも年頃の男として彼女が欲しいという願望があった。だから俺は平凡なりにも女子に優しくし、女子からの相談だって自分の時間を割いて聞いて上げたりしていた。


しかし、そんな風に頑張っていたはずなのにいつしか俺はみんなから「(都合の)いい人」と呼ばれるようになっていた。



「こんなはずじゃなかった・・・」



俺は噛みしめるように、深刻な顔でそう呟いた



「まあ、徹はお人好しだからなぁ 困ってる女子の話とかよく聞いてあげるし 、なんならその問題まで解決しようとするぐらいだし」


「うるせー、俺はお前とは違って平凡だから対応で勝負しないと女子と仲良くできねーんだよ」



俺の独り言に口を挟んできたのは、高校からの友達の大和やまと 拳四朗けんしろう、頭はそれほど良くないが、イケメンでスポーツができる、そしてコミュ力が高いという恐ろしいやつだ。



「でも正直なところソロソロ、お前のことが好きな子が現れてもおかしくないんじゃない?ホント色んな子の力になってあげてるでしょ?」



拳四朗が不思議そうな顔でそう言う。



「あのなぁ、俺が女子達からなんて呼ばれてるか知ってるか?「(都合の)いい人」だぞ?そんな呼ばれ方でまともに好きな人がいるかよ」



自分でいって悲しくなるが、高1の中盤くらいからそんな風に呼ばれ始め、今では女子の中で大体の人がそういう風に認識するようになっていた。



「俺だってこんなはずじゃなかったさ 去年の今頃は彼女できる妄想とか色々期待してたさ、けど現実にはみんなの都合のいい人だぜ?どこで道を間違えたか・・・」



俺は彼女を作るために、高校入学から色んな女子に優しくし、色々苦労してきたのだ。話を合わすためにテレビや音楽など流行を取り入れて

しかし、現実には都合よく使われるだけの存在だ。



「ま、まあちゃんと徹のこと見てくれてる人だって・・・」



拳四朗が慰めの言葉を口にしようとした時



「徹くん! 私今日急いで家に帰らないといけない用事があるから、悪いんだけどゴミ捨て代わりに行ってきてくれない?」



クラスの女の子が手を合わせながらそうお願いしてきた。



「え?ああ、わかったよ。

急ぎすぎて事故らないように気をつけて帰ってね」



と、反射的に俺はそう言っていた。



「ホント!ありがと じゃあね!徹くん」



そう言って、女の子は早足に教室を去って行った。



「はあ、徹ってホントに優しくしちゃうよなぁ

あんなの断っても全然構わないもんだろ」


「うん、それは冷静に考えたらそうなんだけど、女子からの頼みだと断りきれなくて・・・」



今から考えるとこんな風なことばっかりしてたから、(都合の)いい人になってたのかもしれない。



「まあ、お前がゴミ捨てなら、俺は職員室に用があるから、そのあと帰るわ」



そう言って、拳四朗はカバンを持って教室を出て行った。



「はあ、なんで俺って・・・」


どこからともなくため息が出た。



「今日のゴミなんか少ないな・・・」



女子から頼まれたゴミ捨てをするべく、俺はゴミ置場の近くに足を運んでいた。この場所もよくきたものだ。多くの女子からゴミ捨てを頼まれたり、ゴミ捨て場の近くにある校門での挨拶活動など



「よく考えると挨拶活動って、俺生徒会のメンバーじゃねーじゃん・・・」



生徒会の女の子に頼まれてやった挨拶活動を思い出す。朝早くて辛かったな、てか誰も俺を生徒会のメンバーと信じて疑ってなかったし。

そんな風に朝校門の前でした挨拶活動を思い出し

校門のところに目を向けると

1人の女の子が校門前の横断歩道で転んでいた。そして、すぐ近くの傍から車が女の子めがけて勢いよく走って来ていた。



「危ない!」



そう思った俺はゴミ袋を放り出して、勢いよく女の子を外へ押し出した。


ドカン!!


車は俺に直撃し、俺は意識を持っていかれた。



「…!早く、救急車を!」


「うちの生徒じゃないか!」


「あれ、2年B組の佐藤くんじゃない?」


「女の子を助けるために、飛び込んだなんて・・」



そんな風に周りから声が聞こえてきていた。けど、体が重くて何もできない。



「大丈夫!?マコ!ケガはない!?」



近くでさっきの引かれそうになった女の子の母親らしき人、女の子 マコちゃんに話しかけていた。



「ホントに、、ホントにあなたにケガが無くてよかった!マコがいなくなったらと思うと・・・、ホントに良かった!あんないい人が助けに来てくれて!…」



霞んでいく意識の中そんな会話が聞こえて来たような気がした。はねられた痛みよりも、深く心にトゲが刺さったような気がした。声に出たかはわからない、でも言わずにはいられなかった。いや、言わずには終われなかった。



「…最後までいい人かよ・・・」



そして俺はその日の夜、出血多量でこの世を去った…





「はい!悲しい回想は終わり!君はあまりにも報われない人生のまま、人生を終えてしまったから、異世界に転生させてあげよう!」



テンション高めで耳に触るような高い声で、自称神様は俺に言う。



「次の世界はちょっとキツめで刺激の強い世界だから、かわいそうな君はチョイ強めに転生させてあげよう!」



なんだか、よくわからないうちに強めに転生してもらえることになっていたが、どうしてもわからないことがある



「そもそも、俺って死んでるの?てか、俺のからだは?」



そう、話を聞いていたが、自分の体が見えない状態で思考だけが機能していて、どこからとも無く自分の声が神様?みたいな人に伝わってるようなのだ。



「死んだとしても、体がなかったらどうしようもないだろ・・・」



至極当然のことを言うと神様は



「死んでる、死んでる 君の体はもう心と切り離されているから体がないだだよ。まあ、次の転生の世界に着いたら、勝手に体と心がくっつくから」



と、さも当然のようにいい



「ソロソロ時間だから まあ、よくわからないことは多いと思うけど、次はないから悔いがないように頑張ってね!」



そう言いながら、見えない階段を上っていく



「おいおい!ちょっと待てって!説明してくれよ!てか、あんたホントに神様なのかよ!てか、えっ?マジでこのまま放置?おーい、おーい!」



そして、俺は意識を失った。マジでどうなるの?これ?

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