森の花嫁④
きりが悪かったので三話投下
信じられない・・・・
キッチンにずらりと並ぶ調理器具の数々・・・
お風呂場にある大きな銀の桶・・・
これ全部ミスリル製・・・・
どこの世界にミスリルでお鍋を作る人が居るんだろう・・・
大きな桶はお風呂って・・・あんなにたっぷりのお湯に体全体で浸かるなんて、なんて贅沢。
最初はお風呂だって気付かなかった。
それも魔晶石でお湯を沸かす仕組みって、頭おかしいのかと思っちゃった。しかも浴槽はミスリル製。
もう一度言うね、うちのお風呂はミスリル製・・・
ああ、眩暈が・・・
六日目には帰って来るって言ってたから、その日はずっと待ってた。
ううん、二日目も、三日目もずっと早く帰って来ないかって待ってた。
シンタロー様がダンジョンに行くつもりなのは判ってた。私が魔晶石で騒いじゃったから、興味を持ったんだと思う。
騒がなきゃよかった、ただでさえここは危険な森なのに。
魔獣の森のダンジョンは伝説のダンジョン。
大昔から、絶対に近づいちゃいけない禁忌の場所。
村の子供は皆、夜に泣くと『魔獣の森のダンジョンから魔物が攫いに来るよ』っておどされて育つの。
大人たちは、悪態を吐くとき『魔獣の森のダンジョンに行っちまえ!』って言うぐらいの呪われた場所。
いくら魔人でもタダでは済まないと思う。
行って欲しくなかった。絶対良くない事が起きる。
言葉が通じないから抱きついて止めようとしたけど、優しく逃げられた。
去り際に、相変わらず屈託のない笑顔で私を抱きしめてくれて、髪を撫でてくれたけど、全然安心出来ない。
このまま帰って来なかったらどうしよう。怪我でもして動けなくなってたらどうしよう。
シンタロー様帰ってこなかったら私もダンジョンに行って死のうって思ってた。
毎日機織しててもいつの間にか手が止まって玄関の扉を見てた。
六日目になっても、美味しいごはん作って待ってたのに帰って来てくれなかった。
明日になっても帰って来なかったら私もダンジョンに行くつもりだった。場所判んないけど・・・
帰って来るまで本当に怖くて眠れなかった。
七日目の朝に汚れて煤けて、くたびれ果てた様子で帰って来てくれた時は本当に女神様に感謝した!もう絶対に一人で行かせないんだから。
信じられない・・・
地獄蜘蛛の糸玉と極大魔石・・・
恐ろしい量の中魔石・・・
眩暈がする程のミスリル鋼液・・・
古代工芸品の武具・・・
新しい火の魔晶石まで・・・
やっぱりすごい魔人さんなんだ・・・
そして全身お湯に浸かるお風呂は魂抜ける程気持ちよかった・・・
でも、今度シンタロー様が居無くなっちゃったら、私は寂しくて一日で死ねる自信がある。
だから今日から寝るのも一緒!
赤ちゃん出来たら自重してくれるかも。
ちょっと恥ずかしいけどお嫁さんだから当然なんだからね!
経験は無いけどそういう事知らない程ネンネじゃないし、むしろ二三人産んでないといけない歳だし!
修道院は助産婦さんのような仕事もあるから、私も何度も赤ちゃん取り上げたことある。自分が生む立場でも何とかは出来ると思う。根拠は無いけど自信は大事。
実はいつ妊娠してもいいようにそれ用の薬草も集めてあるの。増血作用のある薬草、止血作用のある薬草、消毒に、気付け、痛み止め。この森は人の手が入ってないから伝説級の薬草が雑草みたいに生えてるもの。
第一、霊苺で作った神酒があるから何があっても大丈夫。
だからいつでも来~い!!むしろさっさと来ーい!!何なら今すぐ来ーい!!
って思ってるのにヘタレ魔人シンタロー様は手を出してこない・・・大事にされてるのは判るから許す。
その魔人さんが一角獣魔人の牙ネックレスに綺麗なルビーを埋め込んでくれた。お揃いのシンタロー様のネックレスにはエメラルド。
嬉しすぎて今度こそ気絶するかと思った!!
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