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僕はなんと愚かなんでしょう!
物欲に眼が眩んで大切な約束を忘れていました!
五泊六日の遠征予定の今日は六日目!
狩りなんてしてる場合じゃないんです。今日帰らないとネイが心配するかもしれません。
もう、絶対間に合いません・・・
午前中で狩った両生類人は七匹、捕まえた水銀先生は六匹。
集まった素材は親指大の魔石が七つ、昨日と同じくらいの火の魔晶石が一つ。水銀先生素材が核、ゼリー、合わせて結構な量獲れました。
もう充分でしょう。
急いで荷物をまとめて地下墓地湖を後にします。
お騒がせ致しました!
また来ます!!
結局、地下墓地湖の探索はほとんどしないまま、今回は撤退です。致し方ありません。
そんな事よりネイです。心配して泣いて無ければいいんですが・・・
余分な荷物は残った”どこでも先生”でパックし、極力仮拠点に放置して行きます。
正午には巨人洞窟を後にした僕は、バスで一泊。翌日の昼前には崖城に帰還出来ました。
崖の隙間に隠したロープで縄梯子を下ろし、四段目の岩棚に登ったところでネイに捕捉され、危うく崖から転落するところでした。
ビエーーーーーーーン!
とか泣いてくれれば反応の仕方が有ったのですが・・・
恐ろしく真剣な顔で僕の胸に飛び込んできたネイは、怖いくらい力一杯僕にしがみ付いて離れません。優しく髪を撫でて、背中をポンポン叩いてもますます力を込めて来ます。
細かく肩が震えているところを見ると、よっぽど僕が居なくて心細かったのかもしれません。
心配かけてごめんなさい。深く反省します!
ようやくネイの抱擁から抜け出したのはいいですが、手を引かれてリビングの食卓に座らされ、汗や煙や少量の返り血でひどく悪臭のするトンボスーツを引っぺがされるように脱がされます。
真剣な目つきで僕に怪我が無いかを確認され、納得いったところでやっとネイは愁眉を開いてくれました。
しかし、我ながらいつもいつも大荷物です。
人一人入るくらいの大きなザックには、二つの樹脂先生製の軟質容器に入った大量の水銀先生の核とゼリー。魔石と魔晶石。
これだけでメチャメチャ重いです。
他にもロープや小道具、食料に水、毛皮寝袋などがギュウギュウに押し込まれています。
さらには、両脇にはバランスボールサイズの親蜘蛛の糸玉をぶら下げ、矢筒に武装各種。
今更のように疲労が込み上げて来ます。
ああ、お風呂に入って休みたい・・・
ネイがくれたお湯でとりあえず体を拭き、荷物を仕分けして作業部屋に放り込みます。
ネイと一緒にお昼ご飯を食べたらいざ、作業開始です!