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直立サンショウウオを単純に両生類人、地底湖はその静謐さと骨の量から、地下墓地湖と命名します。
狩りです。
物欲まみれの十字軍で結構!
僕に素材を下さい!
両生類人達はおそらく嗅覚で獲物を察知していると思います。
音で把握しているのなら、空気中では耳たぶが発達しているはずです。さもなきゃ蛇みたいに熱を感じるピット器官かもしれません。
謎器官の可能性も有りますが、それは考えても仕方ありませんよね、謎ですから。
とにかく気を付けるのは彼らの隠形性です。
あんな静かな場所で音も無く背後を取るなんて、忍者みたいです。忍者見た事無いけど。
昨日同様、両脇の石柱に松明を結びつけます。
だるまさんが転んだ、のようにしょっちゅう後を振り返って確認します。
昨日の親蜘蛛の糸は張ったままになっています。彼らの知能がどれぐらいか判りませんが、バリケード代わりにはなるでしょう。
今日は身軽にバスタードソード以外の武装は外し、自ら囮となって湖畔に進みます。その代わり両手に一本づつ松明を持っています。
ヌーーーヌーーーーヌーーーーー・・・チャポン・・・・・
不気味なほど静かに湖面から両生類人が出てくるのが見えます。
なるほど、あんだけ滑らかに動いていれば、水音だって立たないでしょうね。体表は油脂分でも分泌しているのでしょうか、若くてピチピチのお肌のように水を弾いています。
砂浜に静かに、しかし次々と両生類人達が這い上がって来ます。
ある程度の距離が有ったら、おそらく彼らはブレス攻撃をしてくるでしょう。昨日はブレスを吐くより直接攻撃の距離感だったと思います。だからこそ蜘蛛の糸の罠に引っかかってくれました。
推測ですけどね。根拠は直接戦った勘です。根拠になってないか・・・
全力ダッシュで通路に飛び込み、トンボの弓を構えます。
現れたのは四体。
カンッ!
この距離なら外しません。
カンッ!
外すのが難しい距離。
カンッ!
もう目の前。
弓を捨て、槍を繰り出します。
何で目も無いのに避けるの!?
しかも最後の両生類人はショートソード持ち。もっとも、錆ッ錆の酸化鉄ですから、棍棒と変わりません。
それでも棍棒は僕にとっては脅威には違いありません。
ゴブの槍で突く突く突く!薙ぐ!
糸越しの打ち下ろしに槍の穂先が折れ飛びました!
どんだけの筋力ですか!ブツッという音と共に蜘蛛の糸が切られてます!
腰を捻りバスタードソードを引き抜きます!
紫電一閃、赤鰯ごと斬り伏せる事が出来たのは、けして僕の実力ではありません・・・