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少しの間、二話連投します。
松明の大半を地底湖の入り口にほっぽりだし、水銀先生の入った桶をダイゴロー号に安置します。
もう、ウキウキです。プラモデルを買って家に帰る気分です。
翌日。仮拠点に持ち帰った水銀先生を、少量づつ検証した結果、夢のファンタジー素材で間違いない事が判明致しました!
まず、核とゼリーを一対一で混ぜると、鉄より硬くて強度のある金属になりました。おそらく、槍の穂先やバスタードソードの元の素材だと思います。
ゼリーを少し増やすと、バネのような反発性のある柔軟な金属になります。
もっとゼリーの量を増やすと、ワイヤーのようなしなやかな糸状に加工出来ました。
固まりきる前に素材同士をくっつけると、溶接したように接着出来ますが、この現象は同じ素材同士のみ。
いずれも炎に強く、温度による素材の変化は見られませんでした。
一部の欠片を、酸っぱい果実の汁を付けたり、桶に入れた塩水に漬けて腐食性のテストもしてみます。とりあえずこれは放置。
樹脂先生はよく混ぜると早く固まりましたが、水銀先生は重さが変化しました。混ぜれば混ぜる程重くなり、色が濃くなります。
謎過ぎるので、もう不思議な事は全部スルーして結果だけを受け止めます。
水銀先生は固まるのが早いので、手順よく作業しなければ、あっという間に出来損ないの金属の塊になって、素材の無駄になってしまいます。
樹脂先生より扱いが難しいですね。
でもこれで工作出来る物が一気に広がりました!
寸胴鍋、ケトル、魚が捌きやすい薄い包丁、軽い鍋とフライパン、食事用のナイフとフォーク、髭剃り用のカミソリ、蝶番や釘、ノミやカンナ等のクラフト工具、そして何よりボイラー!お風呂に入れます!
ハレルヤ!
何と言う素晴らしい素材でしょう!
お風呂を作ってネイと一緒に入れたら、今度こそ僕は崖から飛ぶかもしれません!
明日は水銀先生、ぜひ乱獲しましょう!!
すっかり水銀先生に夢中になり、魔石や魔晶石の実験を忘れていました。
余った水銀先生素材でトングのような物を二本作り、砂の上でそうっと魔晶石と魔石を近づけます。
チッチッチッボッ!
まるで瞬間湯沸かし器の点火プロセスを見ているようですね!
お互いを近づけるとある程度の距離で火花が散り、魔晶石から紫の炎が立ち上ります。
距離を詰めれば炎は大きくなり、離せば小さくなります。
お風呂のボイラーの為に有るような素材です!キッチンのコンロや、それこそ流しの給湯器も出来そうです!
試しに、水中でも加熱されるかを検証すると、水中では何の変化も有りませんでした。
上手く行けばボイラー無しでお湯が沸かせると思ったんですが、そう都合よくは行かないようです。残念です。
くっつけた状態でトングに挟んだまま振ると、小さな炎の塊がヘロヘロ~っと飛んで行き、5mくらいの所で消滅しました。
これがファイアーボールか~・・・
そんな大した物では無いので湯沸かし決定!
明日も地底湖、頑張ります!
この素材を武器や防具に回さないって・・・
と、お思いかもしれませんが、戦闘が暮らしの主体ではなかったら案外こんなもんだと思います。
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