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剣の種類はバスタードソードと言われる種類の物です。バスタードとは破壊という意味ではなく、混血という意味の蔑称です。武器ならではの言い方かもしれません。
片手剣と両手剣の混血、つまりどちらでも使えるという意味ですね。
別名、片手半剣と言います。そのまんま過ぎ。
広義では日本刀もこれに当たるかも知れませんね。
元の世界ではスイスの傭兵が好んで使ったとされていますが、時代の主役はすぐに銃器となり、余り活躍はしなかったとの事。
しかしこの剣、バランスがいいのかとても軽く感じます。力の無い僕でも片手で軽く振れるくらいです。
白兵戦武器は、重量自体が攻撃力になりますから、軽すぎても良くありません。ですがこの剣はそれを補って余りある切れ味と取り回しの良さが有ります。問題は僕がこれを使いこなす事が出来ない事でしょうね。でもまあ、頑張ります。
いい物頂きました!有難うございます!ご冥福をお祈りいたします!
拾った剣はとりあえず穴の入り口に立て掛けておいて、探索の続きをします。
持ってかないのは危ないからですね。鞘も無いし柄も不十分だと、ダイゴロー号に入れても籠を破るかもしれませんしね。帰りにピックアップする事にします。
次にどっちに行くか迷ったんですが、幅1.5m程の手摺の無い、しかも足場も悪いアーチ型の橋を渡る気がおきません。
ので、必然的に道なり真っすぐです。
ですが行き止まり・・・何も無し。
怖いな~、行きたくないな~・・・
岩棚の通路から下を覗くと、10mは無いかも知れませんが、それなりの高さは有ります。
道幅は約1.5m、ダイゴロー号の車幅は約1m。感覚的にはほぼギリギリです。
それでも覚悟をきめて渡って行きます。視線は真っすぐ、下は見ません!
無心で橋を渡り切り、向こう側へ着くなりまた人骨。
大昔の冒険者でしょうかね。ひょっとして昨日の親蜘蛛みたいなのを剣や槍で退治しようとしたんでしょうか。
僕には逆立ちしたって出来そうにありません。
まあ、逆立ちしたら大概の事は出来なくなるんですけどね!
昔はこの森にも人が住んでたのでしょうか、それともわざわざ危険な森を越えてここまで来たんでしょうか。
僕には想像する事しか出来ません。
遺品は全て腐食か破損しており、使えそうな物は有りませんでした。ただ、数枚のコインが落ちていたので、一応拾っておきます。
そうやって空中回廊を幾つも渡り、行けるところまで行くと、ほぼ天蓋の部分まで上って来ることができました。
幾人か分の骨も転がっていましたが、使えそうな遺品は有りませんでした。
ここで何があってどんなドラマが展開されていたのか・・・今では静かに横たわる骨が知るのみです。
親蜘蛛の巣らしき物が掛かっている場所を抜けると、堆く積まれた埃塗れの宝の山が有りました。
絵に描いたような宝の山です。
たくさんの金貨、緑青の浮いた銀貨、金の壺、宝飾類、黄金の装飾剣、宝石なんか石ころのように転がってます。
それを見ると、不思議と泣けてきました。
莫大な財宝です。元の世界なら子孫七代にまで遊んで暮らせるかも知れない宝でしょう。
ですが、なんの感動も有りません。
僕にとっては何の価値も無い財宝なんです。
人がいて、取引出来なければ何の意味も無い鉱物の山。
ああ、なんだか凄くネイに会いたい・・・