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一旦仮拠点に戻って初収穫をダイゴロー号から降ろし、昼食を摂る事にしました。
ついでに大蜘蛛の糸も10m程木の枝に巻き付けて持って行く事にします。邪魔にはなりませんし、何かに使えるかも知れません。
さすがにファンタジー素材、力を込めてナイフでゴリゴリやってもなかなか切れません。逆にナイフの方が心配になる強度です。
限界まで力を込めてやっとブツッと切れた糸をまとめてポッケに入れときます。ホントに凄い素材ですね。トンボグローブをしてなかったら確実に指が落ちるか、手の平に食い込んでいたでしょう。
現在午後一時、本日はあと五時間は探索したい所。入口近辺の大蜘蛛広間で二日もかかるとは・・・さすがダンジョン。
気を引き締めて午後のアタック開始です!
左に岩壁を見ながら進むと、支道の洞窟の前に辿り付きます。洞窟の奥からは冷たい風が吹いているのが感じられるので、入口もここだけではないのかも知れません。
有毒なガスが溜まっている訳では無さそうですし、ダイゴロー号も通れそうです。
少し覗いて見ると、緩く登りの傾斜になっており、まるで巨大な何かが掘り抜いたトンネルのように見えます。
しかし今回の目的は大蜘蛛広間上部の探索です。とりあえずスルー。
まるで誂えた通路のような岩棚を道なりに登って行くと、幾つかの分岐が出てきました。一つは向こう側に続く橋のようになった空中通路、二つ目は岩壁に開いた横穴、三つ目は道なりに直進です。
横穴の開いている位置と音の反響から、横穴はそれ程深くないと踏んだ僕は、左手の法則よろしく入る事にしました。
ダイゴロー号ごと中に入ると身動きし辛い広さのため、入口手前でダイゴロー号を停め、カンテラを持って侵入します。もし深いようなら途中で引き返して取りに来ましょう。
横穴は直径約2mの円形で、ホースの中に居るみたいです。狭いので圧迫感を感じ、息が苦しくなる錯覚を覚えます。閉所恐怖症の人ならかなり怖いでしょうね。
もっとも、閉所恐怖症ではない僕も怖いですけど。
予想通り横穴の通路は10m程で行き止まりでした。
突き当り付近の地面に、おそらく一人分の人骨らしき骨と朽ち果てた武具が散らばっています。
武具は、革で裏打ちされていたであろう部分的な金属鎧、金属で装飾され、穂先の無くなった槍らしき棒、地面の土に半ば埋もれた長剣です。布類や皮革はほとんど朽ちて土に還元しているようです。
人骨はここで倒れたあと、虫に食い散らかされたかのように骨が散乱し、頭部は見当たりません。
しばし瞑目したあと、僕は故人の持ち物を拾い集めました。
防具は金属が腐食し、使い物になりません。槍らしき棒もしかり。ただ、長剣だけは、埃を払うと恐ろしく鋭利で美しい刃が現れました。
鈍色にドスの利いた輝きを持つ剣は刃渡り80cm程、身幅は細く2cmから3cm程でしょうか、中央に樋が伸びて剣元にはリカッソと呼ばれる刃の無い部分が有ります。
鍔はそっけない程に小さくシンプルな作りで、長めの柄の木製部分はやはり朽ちて金属の茎がむき出しです。柄頭にダイヤ型のポメルがつけられており、宝石か何か嵌っていたのでしょうか、今は穴が開いているだけです。
おそらく鉄ではないでしょう。相当昔の物のようですが、昨日打たれた剣のようにきれいです。
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